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孤立を深めることで北朝鮮への進出を目論む安倍政権

ポイント
・トランプ政権の背後で主導権を握っている勢力は在韓米軍の撤退を目指しており、周辺国もそれに賛同しているなかで、旧態依然たる思考概念に凝り固まっている勢力を抱えている日本は北朝鮮に対して日米韓の枠組みによる強硬路線を続けざるを得ない状況にある。
・日本は拉致問題にこだわっていると孤立状態を強めざるを得ないが、国内世論が非常に悪く北朝鮮に対して大規模な資金拠出が難しいなかで意図的に身代金を吊り上げていこうとしており、「借款」を供与しようとしている安倍政権や財界も内心では望んでいることだ。
・北朝鮮の非核化は限定的なものにならざるを得ず、ICBMが廃棄されても短中距離ミサイルは残り続けるが、それは“ショック療法”になることで安倍政権が目指している改憲や防衛力の強化、さらには将来的に核保有国への仲間入りを後押しすることになる。
・ただし、身代金を吊り上げるにしても拉致被害者が帰国することが大前提であり、あまりに日本が孤立状態に陥って帰国のメドが立たなくなれば元も子もないため、今回の米朝首脳会談では合意を見送ってそうした状態が強まるのを避ける必要があった。


現在では安倍首相の立場はナチズム系から理解されている

 前回述べた安倍晋三首相と国内の圧倒的大多数を占める旧人類から「安倍一強」体制が構築されていることを押さえたうえで、北朝鮮に対する日本の外交政策も見ていく必要がある。
 ドナルド・トランプ米政権が親イスラエル右派的で国家主義的、民族主義的なナチズム系の権力者層の意向を受けて、「表面的」に朝鮮半島の非核化を実現して在韓米軍の撤退につなげていき、南北統一を悲願としている韓国の左派的な文在寅(ムン・ジェイン)政権をはじめ、中国もロシアもそれに賛同しているなかで、旧態依然たる統治システムや思考概念に凝り固まっている日本としては従来の日米韓の枠組みによる強硬路線を支持する向きが圧倒的であり、安倍政権としても表向きにはそれに追随せざるを得ない。また多くの日本人の間では北朝鮮に対しては日本人拉致問題に対する関心が非常に高く、誰が首相に就いても表向きその問題に真剣に取り組まざるを得ない状況にあり、特に安倍首相は以前から右翼的な政治家としてこの問題に取り組んできただけになおさらである。
 言うまでもなく、そのあたりの実情は米ナチズム系の権力者層も理解している。実際、安倍政権は06~07年には当時のジョージ・W・ブッシュ政権で主導権を握っていた共和党系新保守主義(ネオコン)派のディック・チェイニー副大統領(当時)に嫌われて排撃されたが、現在では攻撃されていない。


拉致問題を逆手に取って大規模資金拠出にこぎ着ける

 ただし、物事には“本音と建て前”があるように、安倍首相の北朝鮮に対する姿勢もそれと同じようなことが言える。
 日本政府は北朝鮮に対して強硬路線を取り続けており、拉致問題にもこだわっていることで、最近ではこの問題では“蚊帳の外”に置かれて孤立状態にあった。それにより拉致被害者の帰還に向けて、戦後賠償や核・ミサイル兵器の廃棄及びその検証作業、戦後復興支援の名目で北朝鮮に支払う“身代金”は巨額なものになり得る。
 しかし、実はそれは安倍首相やその背後の財界の首脳が望んでいることだ。北朝鮮が核兵器開発等の軍事優先から経済建設路線にシフトしていくなかで、世界最大の埋蔵量を誇るとされるウラン鉱石はじめ豊富な地下資源の利権の獲得を目指して米国とともに進出していくにあたり、日本が相応の大きな負担をして資金拠出しないと物事が進まないからだ。特に北朝鮮は東西冷戦が終わった直後の90年代初頭の旧ソ連や東欧諸国よりも困窮化しているだけに、中国が利権を握るのを極力排除するのであれば、よけいに日本が資金拠出しなければどうにも話が進まないのであり、安倍首相も財界の首脳もそうした拠出は「借款」といった意味合いで考えているようだ。
 北朝鮮に対する国内の世論が拉致問題その他で圧倒的に悪い状態にあるなかで巨額の資金拠出をするのは困難であるのは言うまでもないことだ。そこで拉致問題を“逆手に取る”ことで対処していこうということなのである。


日本国民へのショック療法に北朝鮮カードは有効な手段に

 そうしたことは、安倍首相が目指している改憲や防衛力の強化、さらには核保有を目指すうえでも言えることであり、言うまでもなく沖縄からも米軍を撤退させようとしている米ナチズム系の権力者層もそれを望んでいる。
 戦後70年余りにわたり米国による「核の傘」で守られた属国統治状態が続いたことで多くの日本国民は“平和ボケ”しており、左派的な平和愛好団体を中心に改憲や軍事力の大幅な増強、そして特に核兵器の保有には非常に嫌悪感が強い。そうした国民に“ショック療法”を与えるには、米軍が韓国や日本から撤退していくなかで、北朝鮮に核兵器やそれを製造する技術者、短中距離ミサイルが残ることは非常に有効な手段になり得るのである。


孤立を深めても拉致被害者が帰国することが大前提

 ただ拉致問題で注意しなければならないのは、日本を孤立状態に置くことでその身代金を吊り上げるのは良いが、それはあくまでも被害者が帰国することが大きな前提であることだ。日韓関係が悪化しているのは米ナチズム系の権力者層や安倍首相の思惑通りの展開なのだが、それでも前のめりで南北統一に動こうとしている文在寅政権下の韓国との関係が極限的に悪化するなどしてあまりに孤立状態を深めてしまうと、拉致被害者を帰国させるメドが立たなくなることで日本としては全く資金拠出ができなくなってしまう。今回、トランプ大統領が金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長との間でひとまず合意を見送ったのには、そうした意味合いもあったと考えられる。
 実際、今回の首脳会談が行われるにあたり、事前に米国が部分的に制裁の緩和に動いても日本政府は従来の方針を維持すると表明していたあたり、安倍首相には合意が見送られることが事前に知らされていた感がしないでもない。言うまでもなく、韓国の文在寅大統領にも日本との関係をあまりに悪化させないように圧力がかかったはずであり、実際に会談が事実上、決裂した翌日の「三・一独立運動」100周年での演説で文大統領が日本に対する批判を避けたのも、米国からの圧力があった可能性を考えないわけにいかない。


 今週は1日多く、明日も掲載します。
 明日は米朝首脳会談で合意が見送られた三つの要因の最後の項目について考察していくことにします。
 よろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。