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先週の動き・・・・週後半にリスク回避が強まりユーロも急落

ポイント
・ECB理事会で域内成長率やインフレ率見通しの大幅な下方修正、中国の貿易統計で特に輸出が激減していたこと、米雇用統計で非農業部門の雇用者数がわずかな増加にとどまったことから、特に週後半にリスク回避が強まって株安が進んだ。
・外為市場ではECB理事会での成長率やインフレ率の大幅な引き下げに加えて、銀行向けに新たに資金供給策が打ち出されたことからユーロ相場が急落した一方で、リスク回避から円高含みの動きになった。
・日経平均のサイクル位相から見ると、今年半ば頃にかけてリスク回避が強まるものの、後半になるとリスク資産市況が再加速する公算も。これまで米中貿易協議への楽観的な見通しから株高が進んだが、構造問題では溝があり、その期待が剥落すると株価がは反落へ。


 先週の国際金融市況は後半を中心に世界経済の減速懸念からリスク回避が強まり、株価が軟弱な動きになった。

 米国株は週初4日には米中貿易協議の合意に向けた楽観的な見方から当初は続伸したものの、その後利食い売り圧力が強まりだしたなか、米建設支出が低調な内容だったこともあって崩落していき、ダウは前週末比206ドル安になって再び2万6,000ドルを割った。5日も中国の全国人民代表大会(全人代)で今年の成長率目標が引き下げられたことからアジア株が下落したことで続落したが、米供給管理協会(ISM)非製造業景況指数が好調な内容だったことから下げ幅を縮小していき、前日比13ドル安にとどまった。6日には経済協力開発機構(OECD)が世界経済見通しを下方修正したことや、米地区連銀経済報告(ベージュブック)が以前に比べると景気の減速が示唆されたことから下落歩調を継続し、ダウは同133ドル安に、ナスダックも同70ポイント安になった。
 そして7日には、欧州中央銀行(ECB)理事会でユーロ圏の域内総生産(GDP)成長率見通しが大幅に引き下げられたこともあって欧州株が急落したことで悪影響を受け、ダウは同200ドル安に、ナスダックも同84ポイント安と軟弱な動きになった。週末8日も中国の貿易統計の結果を受けてアジア株が崩落したことから軟弱な地合いを継続し、ダウは一時同220ドルも下げたが、その後米中協議への期待もあって下値を買い拾われていき、下げ幅は同22ドル安にとどまった。
 米国株は先週には週中を通して下落し続け、1週間で576ドルも下げた。

 日本株も週末に急落するなど、週初を除いて軟弱な動きになった。週初4日には米中貿易協議が合意に向かっているとの楽観的な見方が強まったなか、中国株の動きに牽引されて上伸し、日経平均は前週末比219円高になった。しかし、5日には中国の全人代で今年の成長率見通しが6.0~6.5%に引き下げられたことから中国株とともに下げていき、前日比95円安と反落した。6日もOECDが世界経済見通しを引き下げたことからそれまでの地合いを継続し、同129円安と続落した。7日も前日の欧米株が下落したことで下げ続け、同140円安になった。週末8日には前日の米国株が下げたなか、中国の貿易統計で特に輸出が再び大幅に減っていたことが嫌気されて中国株が暴落したことも加わって一段と地合いが悪化し、一時2万1,000円を割るなど同430円安と急落した。
 日経平均は5日以降の4日間で800円近く下げた。

 外国為替市場では週後半にECB理事会の結果を受けて急落するなどユーロ安が進んだ一方で、リスク回避からやや円高気味に推移した。

 ドル・円相場は週初4日には1ドル=111円台後半で始まり、翌5日にかけて米中貿易協議の合意への期待やISM指数の内容を好感して底堅く推移したが、112円超の水準で上値を抑えられた。6日には米貿易赤字が高水準だったことやベージュブックの内容がいくぶんハト派的とされたことからドル安圧力が、またOECDが世界経済見通しを下方修正したことからリスク回避による円高圧力がいくぶん強まったことでやや水準を引き下げた。7日のロンドン市場CではECB理事会の結果を受けて株安が進むなどリスク回避が強まったことから円高に振れやすくなり、ニューヨーク市場にかけて弱含み傾向になった。週末8日の東京市場では中国の貿易統計の発表で、特に再び輸出が大幅に減っていたことから円高圧力が強まったことや、ニューヨーク市場では米雇用統計の発表で非農業部門の雇用者数(NFP)の伸びが事前予想を著しく下回ったことからドル安圧力も強まり、一時110円80銭を割る水準にまで下げた。

 ユーロ・ドル相場は週初4日には1ユーロ=1.13ドル台で始まり、5日のニューヨーク市場ではISM指数の好調からドル高圧力が強まったことで1.129ドル割れまで下げたが、6日には米貿易収支の発表で貿易赤字が高水準だったことやベージュブックの公表を受けてドル安気味の動きになり、1.13ドル台を回復した。しかし、7日のロンドン市場ではECB理事会で域内GDP成長率やインフレ率の見通しが大幅に引き下げられたことや、銀行向けに新たな資金供給策が打ち出されたことから急激にユーロ安圧力が強まり、ニューヨーク市場にかけて1.117ドル台にまで急落した。週末8日のニューヨーク市場で米雇用統計の発表を受けてドル安圧力が強まったが、それでも1.12ドル台半ば近くにまで達するのが精一杯となって上値を抑えられた。


昨年末にかけての世界減速懸念が再燃か?

 先週は米中貿易協議が続いており、その前週27~28日に開催された米朝首脳会談の余波もくすぶっていたなかで、5日に中国で全人代が開催され、同国の経済情勢がかなり悪化しているなかで、特に経済政策面でどのような政策が打ち出されるか、例年にも増して注目された。またそれ以外にも、先週は特に後半にECB理事会で打ち出された政策姿勢や、中国の貿易統計、米雇用統計といった指標の内容が嫌気されて株価が崩落した。こうした動きからは、昨年10月初旬にダウをはじめ米株価の指標が史上最高値を記録して以来、年末にかけて中国や欧州を中心とする世界経済の減速懸念からリスク回避が強まったが、そうした状況に回帰しつつあると言えなくもない。
 しかも、“独り勝ち”状態を続けていた米国経済も昨年半ば頃に比べると明らかに減速しており、日本経済も中国向けの輸出の落ち込みから景気が足踏み状態になっており、足元では景気動向指数(CI)の一致指数が3カ月連続で前月を下回ったことで、戦後最長の景気拡大とされていたのが“幻”であったといったことが言われるようになっている。


今年半ばにかけてリスク回避が再燃する局面か?

 こうした状況について、筆者は今年半ば頃にかけてリスク回避がくすぶる状況が続くものの、それ以降には再加速する場面が到来しておかしくなく、本格的な景気後退(リセッション)入りはまだ先のことではないかと考えている。なぜなら、例えば日経平均は長期的なサイクルとして8年サイクルが存在しており、それが二つの4年サイクル及び三つの3年サイクルで構成されていることが知られているが、それらのサイクルの位相を考えるとそうした結論に達するからだ。
 すなわち、英国の欧州連合(EU)からの離脱の是非をめぐる国民投票が行われた際の16年6月に8年及びそれ以下のサイクルが底入れして以降、現在では8年サイクルが上昇局面にあるなかで3年サイクルが今年半ば頃と見られる底に向けて下降局面にあると想定されるからだ。日経平均は昨年12月26日に瞬間的に1万9,000円を割ったが、その付近かもしくは瞬間的にそれを下回る安値を示現しておかしくない。北朝鮮が久々にミサイル発射に向けて準備を進めているとの衛星写真の画像分析からの報告が出ているのも、特に日本株を中心にリスク回避を強める要因になり得るものとして気になるところだ。
 ただし、ドル・円相場は今年初3日に米アップルが売上高見通しの下方修正を発表した直後に瞬間的に1ドル=104円台に暴落したのは“イレギュラー”な動きでしかなく、そこまで下がるとは見ていない。

 ただいずれにせよ、米株価も米中貿易協議の行方をかなり楽観視して反発してきただけに、技術強要や知的財産権の問題その他の構造改革面で双方で折り合いがつかなければ相応の株安局面に見舞われておかしくない。それだけに、まずはECB理事会や米雇用統計、中国の貿易統計の動向について押さえたうえで全人代での動きも見ていくことにする。


 今週は先週にリスク回避をもたらした三つの要因を採り上げて分析、考察していきます。
 明日はECB理事会で公表された域内成長率やインフレ率が大幅に引き下げられたことや、特に銀行向けの資金供給拡大策である第3弾のTRTLOについて見ることにします。
 明後日は米雇用統計について見た後、明後日は中国の貿易統計で特に輸出が激減した背景について考察します。
 そのうえで、週末にはそれと関連する要因として、足元で開催されている全人代について簡単に見ておきます。
 今週もよろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。