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中国の経常収支が赤字に転落し外貨準備も枯渇へ

ポイント
・トランプ政権の背後の権力者層は中国に対して最も求めていたはずの国有企業への補助金支給の停止への要求を見送ったが、6年間で米国からの輸入を1兆ドル増やすことや人民元切り下げの禁止をも禁止させたことで、目論見通りの結果を得たと言える。
・中国の経常黒字はリーマン・ショックの直前をピークに米国での住宅バブル崩壊による資産効果の剥落や中国での4兆元の景気対策の発動による内需の浮揚から縮小してきたが、特に近年では先進国へのキャッチアップ終了による輸出の激減がそれに拍車をかけている。
・中国の経常収支が赤字に転落すれば慢性的に人民元安圧力が強まることになるが、元安が進むと簿外の対外債務の実質返済負担が激増するので人民銀行は必死に介入して元相場を買い支えなければならなくなる。
・中国の国有企業は本当は以前から赤字体質だったのであり、海外でドル資金を調達して人民元に換えて売り上げに回して黒字決算を取り繕ってきたのであり、元相場が上がっている時に放っていても実質返済負担が減っていたが、下がるとそれが激増することになる。
・中国の外貨準備は公式的には3兆ドル超ほどあるとされているが、実際には簿外での他の途上国への貸し付けの焦げ付きや腐敗官僚の持ち逃げ、すぐに換金できないもので運用しているといったことで、本当はその3分の2が失われているとの観測も?


ナチズム系としては輸入大幅増大だけでも目論見通りの結果に

 ここからが今回、付け加えることであり、米中二大国の本当の関係と権力者層の本当の目論見を考えるうえで非常に重要なことだ。
 実は、ドナルド・トランプ政権の背後の親イスラエル右派的で国家主義的、民族主義的なナチズム系の権力者層としては今回、中国に対して国有企業改革を推進させることを意図した補助金支給の要求は見送ったものの、結論から先に言えば、6年間で米国からの輸入を1兆ドル増やし、為替条項も盛り込んで人民元切り下げも禁止させたことで目論見通りの結果を得たのである。なぜなら、対米貿易黒字がなくなってしまえば、あるいは6年間で1兆ドルもの輸入を増大させることが非現実的で達成できないとしても、その黒字が激減すれば、中国の経常収支は赤字に転落してしまうからだ。
 この輸入の大幅な増大措置は昨年12月1日の米中首脳会談の際に習近平国家主席が提唱したものだが、主席がトランプ大統領と並んでナチズム系の権力者層の傀儡であるだけに、特におかしなことではない。表面的には米国からの構造問題での圧力をかわすために“法外な”輸入の大幅な増大を持ち出しているとされているが、その裏側の事情を言えば、中国の最高権力者として擁立している人物がそうした論理を“隠れ蓑”にして米国のユダヤ系権力者層に“奉仕”しているのである。


特に近年になって構造的に縮小してきた中国の経常黒字

 中国の経常黒字のピークは、原数値ではリーマン・ショックが起こった08年に4,200億ドル、対国内総生産(GDP)比ではその前07年の9.9%であり、言うまでもなくそれは米国で住宅バブルによる資産効果から家計の消費活動がピークを迎えた時期に相当する。その後、中国の経常黒字は米国で住宅バブルが崩壊して逆資産効果に見舞われて家計の購買力が減退した一方で、中国では4兆元の景気対策が打ち出されて内需が浮揚したことで減少していき、世界最大の黒字国の地位をドイツに奪われた。
 ただ近年になって一段と減少傾向に拍車がかかっているのは、先進国へのキャッチアップが終わったことで容易に輸出が伸びなくなっていることがその主因になっていると思われる。いわば、以前にはグローバル生産体制下での加工組み立て基地が集積している沿海部の地域が「世界の工場」と呼ばれたものだが、今ではそれがまさに“風前の灯火”になりつつあるわけだ。

 極め付けは、昨年1-3月期を中心に上半期に海外旅行者が現地で「爆買い」をしたことで経常収支が赤字に転落したことであり、資本流出による元安圧力から外貨準備が枯渇することを恐れている中国政府が旅行者に対して外貨の持ち出しを厳しく制限しなければならなくなったほどだ。
 またこうした国家が危機的な状態にあるなかで一般の旅行者が爆買いをするほど豊かになっているという現象は、都市戸籍保有者が内陸部の農民戸籍保有者に対して、極めて特権的な地位を与えられており、貧富の格差が絶望的なまでに拡大しているといった社会病理を端的に示す事例ともなったものだ。


元安回避の目的は対外実質債務の返済負担の激増を防ぐため

 経常収支が赤字に転じれば、米連邦準備理事会(FRB)が特に引き締め気味の金融政策姿勢を推進しなくても、慢性的に人民元安圧力が強まらざるを得ない。15年8月11日の人民元切り下げを機に、さらに年明けには当時、FRBで主導権を握っていたスタンレー・フィッシャー副議長の発言を機に2回目の元安圧力に見舞われた際には、人民銀行が必死になって外貨準備を取り崩して元買い・ドル売り介入を行って元相場を買い支えたものだ。
 どうしてこの時、中国が必死に買い支えたのかと言うと、当時は大国としての“面子”といったことが言われたが、本当は人民元の信用を維持するうえで米ドルと連動した状態を維持する必要があったことがある。またそれ以上に、簿外での実質的な対外債務の返済負担が激増するのを防ぐためだった。


慢性的に対外債務を拡大して黒字決算を取り繕うことに

 以前から当欄で何度も指摘しているように、中国の国有企業の経営幹部には共産党幹部が就任しているだけに、その理念は党の意向に忠実に従う“親方日の丸”なのである。そこでは、効率性の追求には最適な市場経済システムが機能するうえで不可欠な「収益」「採算」「自己責任」といった観念が極めて希薄であり、高コストで市場性に不適格な製品ばかり製造していたことから、本当は国有企業の多くが慢性的に赤字体質だった。それを海外でドル資金を調達し、偽装輸出を繰り広げることで中国国内に持ち込んで人民元に換え、売り上げに回すことで黒字決算を取り繕う“インチキ会計”が繰り広げられてきた。
 中国では長年にわたり人民元相場が上がり続けていたので、放っておけば実質的な返済負担が軽減される環境が続いてきた。それだけに、共産党幹部や国有企業の経営者の間では感覚が麻痺してそうした体質が染みついているが、それは民間企業の経営者でも同じであるようだ。元安傾向に転じれば一転して返済負担が膨れ上がるので、15年後半から16年前半にかけての時期には人民銀行が必死に人民元を買い支えたのだが、それでも中国の対外債務の増大傾向が止まらないのはこのためだ。


中国の外貨準備は本当は1兆ドルしかない?

 対米貿易黒字がなくなることで中国の経常収支が赤字に転じれば、元安圧力が慢性的に強まり続けることになる。そうなれば人民銀行は簿外の対外債務の実質返済負担が膨れ上がるのを防ぐためにも、また米国との交渉で元安誘導の禁止を受け入れたこともあり、懸命に介入し続けなければならない。
 中国の外貨準備の規模は公式発表では3兆ドルをやや超える程度とされているが、実際にはそのうち3分の2ほどが“紛失”もしくは“行方不明”になっていたり、すぐに換金できないもので運用されているといったことがささやかれたものだ。例えば、中国は債務不履行(デフォルト)の危機に見舞われているベネズエラにロシアとともに巨額の融資をしていることで知られているが、特に同国の場合には国際決済銀行(BIS)への報告分の数倍もの融資をしているという。
 それ以外にも、中国は王岐山国家副主席と関係が深い米系投資会社主導で経済的に苦しい途上国に“融資込み”でインフラ建設を持ちかけ、相手国が返済に行き詰まると所有権を没収したり、使用権を長期にわたり奪うといったことをしてきた。いわゆる「債務の罠」と呼ばれる現象だが、こうしたことも経済情勢が悪化するなどして“一皮めくれば”融資の焦げ付きに発展する恐れのあるものだ。また外貨準備についてこうした“使い込み”以外にも、腐敗官僚が海外に“持ち逃げ”しているのもかなりの規模に上っているとされている。
 いずれにせよ、15年後半から16年前半に中国不安に見舞われて元安圧力が高まった際には、外貨準備が本当は1兆ドル程度しかないのではないかといったことがまことしやかにささやかれたものだ。


 週末の明日もこの続きを掲載します。
 明日はナチズム系の権力者層が中国に国有企業への補助金支給の停止を見送った代わりに6年間で1兆ドルもの米国からの輸入を増やすことに同意させたことで思惑通りになりましたが、それによる今後のシナリオについて考えてみます。
 よろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。