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農産品の関税引き下げはTPPの水準まで

ポイント
・萩生田幹事長代行が消費税率の10%引き上げの延期をほのめかす発言をしたのは、当然のことながら安倍首相や米ナチズム系の権力者層がいる。さらに言えば、日米通商協議が始まり、サプライサイド経済学者がFRB理事に就任する流れのなかで起こったものだ。
・今回、日米通商協議で米国側が要求もしくは提唱してきたもののうち、デジタル貿易は新しい概念であり、データ取引において中国のような独裁国家が政府管理色の強いルールを国際慣行化するのを避けるために日米間で国際ルール作りを主導していこうというものだ。
・トランプ政権が成立して米国が離脱した後、日本が11カ国をまとめてTPPが発行にこぎ着けたのはナチズム系の権力者層がこの地域の管理を日本に任せようとしているからだが、コスモポリタン系の勢力はこれに意外感を抱いているようだ。
・米国はTPPが発行し、日本とEUとの間でもEPAが発行したことで不利な立場に置かれて焦っているなかで、米国側がTPPの水準以上に農産品の関税を引き下げるように要求する動きがあるが、これは単なる交渉術に過ぎない。


萩生田発言は安倍首相及び米権力者層の意向を踏まえたもの

 先週は15~16日に茂木敏允経済再生担当相が訪米し、ロバート・ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表との間で初回の日米通商協議が行われた。また18日には国内で安倍晋三首相の側近の萩生田光一自民党幹事長代行がインターネット放送で、10月に消費税率の10%への引き上げが予定されているなかで、その延期をほのめかす発言をした。
 萩生田幹事長代行はその翌日には個人的な見解だと釈明したが、言うまでもなく、その発言は安倍首相やその背後の勢力の意向を踏まえたものであると見るべきである。さらに安倍首相は米国側ではドナルド・トランプ大統領やその背後の親イスラエル右派的で国家主義的、民族主義的なナチズム系の権力者層とつながっていることを考えると、この発言は米国で現在、主導権を握っている勢力の意向を代弁したものとも言い得ることが可能である。
 すなわち、今回のこの発言は週初に日米通商協議がようやく始まったことを受けてのものだ。さらに言えば、それ以前にはつい最近、米国で連邦準備理事会(FRB)理事に減税重視を主張しているサプライサイド経済学の“申し子”のような存在であるスティーブン・ムーア氏が使命される流れになってきたことと密接な関係にあると言い得るものだ。


データ取引の国際的なツール作りの主導を狙ったデジタル貿易の提唱

 まず初回となる今回の日米通商協議でライトハイザーUSTR代表が要求もしくは提唱してきたことは、農産品の関税引き下げ、対日貿易赤字の縮小、国境を越えたデータの取引を扱うデジタル貿易の国際ルールの整備といったところだ。
 このうちデジタル貿易については新しい概念であり、今回の協議で急遽、米国側が提唱してきたものだ。この分野の国際取引においては、中国が政府管理色の強いルールを設定してそれを国際慣行化する恐れがあるなかで、民間企業がそうした独裁国家の政府から干渉を受けるのを防止するために、世界二大経済先進国である日米両国で国際的なルール作りを主導していこうというものだ。いうまでもなく、そこには日米間でほとんど利害が衝突することがなく、大統領選挙を控えて早期の成果を望んでいるトランプ政権の意向もある。
 ただそこには、トランプ大統領やその背後のナチズム系の権力者層がアマゾンやグーグル、フェイスブックといったネット系ハイテク企業との対立を深めているなかで、これらの企業群が実際に中国のような安全保障上の敵対国に進出して地盤を築かないように、政府側が監視網を整備していくといった思惑もある。
 ただ今回はこの問題は主要なテーマからはずれるので、この議論はここではこれ以上、深入りしないことにする。


環太平洋地域の管理を委ねられた日本が11カ国をまとめ上げる

 農産品の関税引き下げの問題を考察するうえでその前提条件として押さえておく必要があるのは、米国側が相当に焦っている状態にあることだ。トランプ政権が成立してから米国が環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱した後、日本主導で11カ国をまとめ上げて合意が成立してそのTPPが発行してしまった。
 日本主導で環太平洋諸国をまとめ上げるのは、米国が世界覇権を後退させていく流れのなかでナチズム系の権力者層がこの地域の管理を日本に委ねようとしており、それに米国のキリスト教福音派につらなる右翼的な宗教勢力をその支持基盤としている安倍政権がこれに応えたことで実現したものだ。
 ただ、“属国根性”が染みついている日本ほどではないとはいえ、米国でもいまだに軍産複合体を中心とする親イスラエル左派的な社会主義的、リベラル的なコスモポリタン系の影響力が根強い状態にある。そうした勢力の間では、日本が11カ国をまとめ上げるほど地域的な管理体制をめぐり指導力を発揮したことに意外感をもって受け止めている向きが多いようだ。


TPPの水準以上の農産品の関税引き下げはあり得ない

 さらにそれだけでなく、日本政府が欧州連合(EU)との間でも経済連携協定(EPA)を成立させて発効にこぎ着けたことで、今や米国は太平洋地域でも欧州との通商面でも不利な状態に立たされている。特にその利害関係からは大統領選挙をはじめとする選挙戦で大きな影響力を発揮する中西部のコーンベルト地帯を中心とする農民層が不満を抱いており、中国との貿易戦争の激化で同国向けの大豆の輸出が激減しているだけになおさらである。
 こうしたなかで、ソニー・パーデュー農務長官がTPPで合意した水準以上の譲歩を日本側に求めるとしているが、これは単なる“交渉術”に過ぎないものであり、その点については日本側に足元を見られているといって過言ではない。パーデュー長官は農産品で先行して暫定合意を結ぶことを望んでいる意向を見せているのに対し、茂木経済再生相が特定の分野だけを先行して決めることはあり得ないとして明確に拒絶している通りだ。
 さらに言えば、農産品の関税引き下げについては最大限でTPPでの合意水準までとするのは、昨年9月26日の日米首脳会談で既に合意していることでもある。


 明日もこの続きを掲載します。
 明日は米国側が日本に対日貿易赤字の削減を求めていますが、これは日本側に自動車の輸出数量規制を受け入れるように求めてきたことに他なりません。
 その件について、米国側が本当に求めているものを中心に考察します。
 よろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。