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注目されるプーチン、金正恩の話し合いの内容

ポイント
・今回のロ朝首脳会談での拡大会合では、北朝鮮側が少数の外交関係者だけだったのに対してロシア側では多数の経済、対外発展関係の閣僚が参席したあたり、北朝鮮側が制裁の解除を望んでいるのに対してロシア側は経済進出に関心が強いことが示唆されていると言える。
・今回の首脳会談では、北朝鮮側が米国との首脳会談が決裂したなかで中国の後ろ盾を得られなかったこと、ロシア側も米国から制裁を受けていること朝鮮半島問題への関与を望んでいることから行われたのはその通りだが、あくまでも表面的な解釈でしかない。
・首脳同士の会談の直後にプーチン大統領が余裕しゃくしゃくだったのに対して金正恩委員長の表情がこわばっていたのは、大統領が段階的な非核化を支持しながらも踏み込んだ要求をしたことや、拉致問題の解決を求められたのは想像に難くない。
・その背景には、日米ロの3首脳の背後の勢力がつながっていることがあり、朝鮮半島の非核化問題や経済進出をめぐってはこの勢力が主導して進められており、敵対する勢力につらなる江沢民派が依然として多くの利権を握っている中国は最初から排除されている。
・日ロ関係では両首脳が北方領土問題の解決や日本の財界の進出に向けて動いているものの、領土返還にロシア国民が圧倒的に反対していることでうまくいっていないが、その背景には欧州系財閥につらなる勢力がプーチン大統領の路線を妨害していることがある。


段階的な非核化をロシア側が主張したのは予想通りだが・・・・

 先週は25日にロシアの極東ウラジオストクで同国のウラジーミル・プーチン大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長との間で初の首脳会談が、翌26日には安倍晋三首相が外遊先の米ワシントンでドナルド・トランプ大統領との間で4回目となる日米首脳会談が開催された。
 このうち、ロ朝首脳会談では拡大会合や夕食会が1時間延長されるなど、かなり友好的な雰囲気だったとされている。会談後の会見では、プーチン大統領は北朝鮮側の主張を受け入れて段階的な非核化とその都度、制裁を緩和、解除していくことを支持する姿勢を見せた。2月26~27日にベトナム・ハノイで開催された2回目の米朝首脳会談では、トランプ米大統領が土壇場で“ちゃぶ台返し”を行い、すべての核兵器や施設、ミサイル施設を廃棄した後で制裁を全面的に解除する「ビッグディール」を提案したことで事実上、決裂したが、その限りでは今回、プーチン大統領はこうした米国側の姿勢を牽制したことになる。
 しかし、それ自体は以前からロシア側が主張していたことであり、まったくの予想通りである。


顔ぶれの相違でうかがわれる両国の関心の対象

 今回の首脳会談で注目されたのは、拡大会合では北朝鮮側が少数の外交問題の担当者だけが金正恩委員長の横に座ったのに対し、ロシア側では多くの経済部門や対外発展関連の閣僚や高官がプーチン大統領の横に位置したことだ。北朝鮮側では金英哲(キム・ヨンチョル)副委員長(統一戦線部長)が米国との首脳会談の失敗の責任をとらされてはずされたのを除き、李容浩(リ・ヨンホ)外相や崔善姫(チェ・ソンヒ)外務次官といった“お馴染み”の顔ぶれだった。それに対し、ロシア側ではセルゲイ・ラブロフ外相だけでなく、マクシム・オレシュキン経済発展相はじめそうした分野の高官が非常に多かった。
 そうした顔ぶれからは、今回の首脳会談に臨むにあたり両国の関心の対象がどこにあるかを端的に物語っていると言えるだろう。北朝鮮側は制裁が維持、強化されて苦しい状況に陥っているなかで、核放棄のカードと引き換えにその解除を求めることで体制の維持を図ろうとしている。それに対し、ロシア側は朝鮮半島の資源の利権の獲得をはじめ、極東地域の経済発展を実現して中国の進出を食い止めることにあると言えるだろう。


表面的にはロ朝両国が局面の打開を意図して行われたが・・・・

 今回のロ朝首脳会談については、両国が米国に対して不利な状況に立たされているなかで、局面の打開を図って行われたものといった解釈が一般的であるようだが、そうした認識はある程度は的を射ていても完全に正確であるとも言えない。
 北朝鮮側では、2月下旬に米国との間で首脳会談が行われるのに先立って金正恩委員長が訪中して習近平国家主席と首脳会談を行い、中国による後ろ盾を得ようとしたが失敗したことを以前、当欄で指摘した。習主席から先に核放棄に動くように求められ、米国との協議がうまくいかなくても利害関係のある6カ国による多国間での協議の開催に慎重な姿勢を見せ、さらには拉致問題にこだわっている日本をそこからはずすように求めても明確に拒絶されてしまった。そこで残る6カ国の関係国であり、国連安全保障理事会で拒否権を握っている大国ロシアに接近したことで今回の首脳会談が行われることになったのはその通りである。
 一方で、ロシアについては北朝鮮と同様に米国から制裁を受けており、また朝鮮半島問題では6カ国の中で最も利害関係が薄い立場にあるなかで、関係を深めるのに北朝鮮側が首脳会談の開催を持ちかけてきたのは“渡りに船”とする見方が支配的である。そうした見方は表面的には正しいのだが、それで思考を停止してしまえば物事の本質を理解することは出来ない。


余裕しゃくしゃくのプーチン大統領とこわばった金正恩委員長

 注目されるのは、拡大会合に先立って2時間近く通訳を交えた“1対1”での首脳同士の会談が行われた後で現れた両首脳の表情を見比べると、プーチン大統領が“余裕しゃくしゃく”だったのに対して金正恩委員長が極端に“こわばっていた”ことだ。“老獪”なプーチン大統領を前に“若僧”の金委員長がやり込められたのは明らかだが、そこでは単に大統領及びロシア側の演出に委員長が“たじたじ”になっていたといったことだけではないだろう。
 すなわち、首脳同士の会談の際に金委員長にとっては都合の悪いことをプーチン大統領が指摘し、また要求したことは想像に難くない。おそらく筆者が考えるに、そこではプーチン大統領は北朝鮮側が主張している段階的核放棄を支持しながらも、その手続きにおいてはより踏み込んだ措置を要求したことも考えられるが、外部に漏れないように配慮しながら密かに日本人拉致問題の解決を求めたこともあったのではないかと考えている。


北朝鮮の資源等の利権や経済進出を目論む日米ロの3首脳

 なぜなら、ロシアはクリミア半島を強引に併合したことや16年の大統領選挙で干渉したことなどから米国から制裁を受けており、それに表面的には日本も同調しているが、実際にはプーチン大統領とトランプ大統領、安倍首相は緊密な関係にあり、これら3首脳の背後の勢力は頻繁に連絡を取り合っているからだ。
 朝鮮半島北部の豊富な地下資源の利権の獲得や観光・ホテル事業、カジノ事業等で経済進出するにあたり、既に日本の地下勢力が地盤を築いており、そこにトランプ大統領や「カジノ王」シェルドン・アデルソン氏をはじめとする親イスラエル右派につらなる米国のマフィア勢力も提携していこうとしている。そうしたなかで、安倍首相の背後の右翼的な宗教勢力やプーチン大統領直系のロシアのマフィア勢力が北朝鮮の有力者との間を介在していることは以前、当欄で指摘した通りだ。
 そこでは最初から中国は排除されており、米国から貿易戦争を仕掛けられ、また連邦準備理事会(FRB)も昨年末までタカ派的な金融政策姿勢を推進していたことで苦しい状況に追い込まれているなかで、北朝鮮問題については関与させてもらえない状況にあることが容易にうかがい知ることが出来る。中国では政治的には「中華帝国(民族)の復興」を唱えているなど、これら民族主義的な3巨頭と同じ性格である習近平主席が絶対的な権力を掌握しているように見えながら、実際には欧州ロスチャイルド財閥や、つい最近まで「世界皇帝」として君臨していたデイヴィッド・ロックフェラーが属する米ロックフェラー財閥本流の系列である親イスラエル左派的で社会主義的、リベラル的なコスモポリタン系の勢力につらなる江沢民派が依然として多くの利権を握っているからだ。


北方領土問題の本質とロシア側の抵抗勢力

 余談ではあるが、プーチン大統領が北方領土問題で日本と交渉しようとしているのも、またそれがうまく進展していないのもそうした枠組みで考察する必要がある。
 中国の勢力が北進して極東地域を侵食するのを防いだり、ユーラシア経済圏を構築するにあたり中国に主導権を握られることなく優位性を維持するには、何としてでも日本の進出が必要とされるのは言うまでもないことだ。安倍首相の背後勢力も「大東亜共栄圏」構想を推進するにあたり、是非とも財界に積極的に進出させようとしている。
 そもそも、北方領土問題は戦後、米国による属国支配を受けたなかで、東西冷戦の“宿敵”であるソ連への敵愾心を煽る象徴のような存在だったことから多くの日本人の間では違和感が強いだろうが、今では日ロ間の外交交渉の取引材料に過ぎない。実際、安倍首相の姿勢も戦後、日本政府が米国の要請により一貫して主張してきた「四島一括返還」にこだわっていないのを見れば理解できることだ。
 ところがそうした日ロ間の取り組みは、日本側では米欧に追随した同国への制裁が障害になって財界の経済進出が遅れており、それ以上にロシア側では領土の返還にロシア国民の圧倒的多数が反対していることで上手くいっていないことは特に指摘するまでもないことだ。ただロシア側でその背景としては、欧州系財閥につらなるドミトリー・メドベージェフ首相やラブロフ外相をはじめとする外務官僚の勢力がそうした一般民衆の感情的な世論を利用して、プーチン大統領の意向を妨害していることはしっかり認識しておく必要がある。


 明日もこの続きを掲載します。
 明日はプーチン大統領が米朝間の仲介役を担おうとしている本当の意味について考察します。
 明後日以降の2日間では日米でリフレ派的な経済論調が支配的になっている背景や意義について考察します。
 よろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。