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先週の動き・・・・米中貿易戦争が安保分野に拡大して金融市場が動揺

ポイント
・米政府がファーウェイへの米企業の部品供給を禁じたり、他の戦略的な中国企業にもそれを拡大させる姿勢を示し、これに中国側が態度を硬化させて貿易協議の再開を凍結する姿勢を見せたことから、国際金融市場ではリスク回避が強まる場面が目についた。
・外為市場ではリスク回避から円高気味に推移する一方で、週後半にドイツ及びユーロ圏指標の悪化から一時的にユーロ安に振れた後、週末に英国のメイ首相が辞意を表明したことからポンド高に追随してそれ以上にユーロ高に振れた。



 先週の国際金融市況は米中貿易戦争が再び激化したなか、米政府による中国大手通信機器メーカーの華為技術(ファーウェイ)への制裁が一段と強化されるなど安全保障問題へと波及したこともあってリスク回避が強まり、株価が軟弱な動きを示す場面が多かった。

 米国株は週初20日にはグーグルをはじめ複数の米企業がファーウェイとの取引を事実上禁じる米政府の方針を順守する意向を見せたことからリスク回避が継続されて下落し、ダウは一時前週末比200ドル近く下げたものの終盤に買い戻されて同84ドル安にとどまったが、ナスダックは同113ポイント安になった。21日には米政府がファーウェイとの取引を禁止するうえで、一部の取引に90日間の猶予措置が設けられることになったことから一時的にリスク選好が強まって上伸し、ダウは前日比197ドル高に、ナスダックも同83ポイント高になった。しかし、22日には米政府がファーウェイだけでなく、防犯・監視システム最大手の杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)はじめ複数の中国企業に米製品の部品調達を禁止することを検討しているとの報からリスク回避が再燃して軟化し、ダウは同100ドル安になった。
 さらに23日には中国商務省の報道官が「米政府が誠意をもって間違った行為を訂正した場合にのみ貿易協議を続けることが出来る」と発言し、しばらくは協議を凍結する意向を見せたことから一段とリスク回避が強まってアジア株が全面安になった。さらに、独Ifo景況指数やIHSマークイット社のドイツ及びユーロ圏の景況感指数(PMI)が低調な内容だったことから欧州株も全面安になったのを受けて米国株も軟弱な動きになり、ダウは一時同450ドル近く急落して引値では同286ドル安になり、ナスダックも同122ポイント安になった。ただ週末24日には、トランプ米大統領が米中協議で合意すればファーウェイを排除する動きを緩和させる可能性に言及したことから堅調に推移し、ダウは同95ドル高になった。

 日本株は週初20日には前週末17日に米ミシガン大学消費者信頼感指数の結果を受けて円安(ドル高)に振れていたことや、日本の実質国内総生産(GDP)成長率が意外にも高成長を記録したことから底堅く推移し、日経平均は前週末比51円高になった。21日にはファーウェイを巡る米中間の対立の激化から米国株が下落したことで当初は軟化したが、その後同社との一部の取引での90日間の猶予措置の導入を先取りして引けにかけて買い戻しが進み、下げ幅は前日比29円安にとどまった。そうした流れを受けて米国株が上伸したことから翌22日は底堅く推移したが、米中間の対立が激化しているなかで上値では利食い売り圧力が強まり、同10円高と小幅高にとどまった。23日には米政府が他の中国企業にも制裁措置を拡大したなか、中国商務省がこれら一連の米政府の措置に反発して貿易協議を凍結するコメントを出したことから軟弱な動きになり、同132円安になった。週末24日には前日にアジア株や欧州株が全面安になった余波から当初は同230円近く下げて一時2万1,000円を割ったが、その後週末もあって買い戻しが進んでいき、下げ幅は同33円安にとどまって大台を回復した。

 外国為替市場では週後半に動意づき、リスク回避から円高圧力が強まる一方で、ユーロ相場が一時軟化した後でそれ以上に反発するなど比較的大きな動きを示した。

 ドル・円相場は前週末に米ミシガン大学指数の発表を受けて上昇していたことから、週初20日の東京市場では1ドル=110円台前半で推移したが、ニューヨーク市場では複数の米企業が政府の意向を受けてファーウェイとの取引を停止することを表明したことからリスク回避が強まり、109円80銭付近に軟化した。しかし、すぐに落ち着きを取り戻して翌21日の東京市場では110円台前半の水準に復帰した後、ニューヨーク市場では米政府がファーウェイの一部の取引を90日間猶予する措置を打ち出したことから110円70銭近い水準に上昇した。その後、22日には110円台前半から半ば付近で動意薄の展開になったが、23日には中国商務省が米国との協議を事実上凍結する姿勢を示したことや、複数のドイツ及びユーロ圏関連の指標が低調だったことから世界経済の減速懸念まで高まったことでリスク回避から円高圧力が強まり、ニューヨーク市場では109円40銭台にまで下落した。さらに週末24日には、英国のテリーザ・メイ首相の辞任表明によるユーロ高に伴うドル安から、ニューヨーク市場で109円30銭割れまで軟化した。

 ユーロ・ドル相場は週初20日には1ユーロ=1.11ドル台半ばから後半にかけての動きとなり、21日にはメイ英首相が自身は反対する姿勢を示しながらも、2回目の国民投票の実施を選択肢として提示したことからポンド高に追随してややユーロ高圧力も強まり、1.119ドル近い水準に強含んだ。しかし、そうした姿勢が保守党の強硬離脱派を中心に激しい反発を引き起こしたことで一転してポンド安圧力が強まったことから上値が重くなり、翌22日にかけてすぐに以前のレンジ内に戻ってしまった。23日のロンドン市場ではドイツやユーロ圏の複数の経済指標が低調な内容だったことから一時的にユーロ安圧力が強まったことで1.110ドル台に突っ込んだが、ニューヨーク市場では当初、米国株が急落するとドル安圧力が高まり、1.119ドル近い水準にそれ以上に急反発した。週末24日のロンドン市場ではメイ英首相が欧州連合(EU)からの離脱を巡り混迷した責任を取って辞任することを表明したことが好感され、ポンド相場の急伸とともにユーロ高圧力が強まり、ニューヨーク市場では1.121ドル台にまで一段高になった。


FRBがハト派的になりじきに株式市場に資金回帰へ

 市況は先週23日に、米中貿易戦争の激化に加えて主に欧州での景気指標の悪化を機に世界経済の減速懸念が高まることでリスク回避が強まるなど、昨年秋から年末まで見られたのと同じような状況になった。ただ、恐怖指数(VIX)の水準が当時に比べるとはるかに低く、市場では危機意識はほとんど聞かれない。22日に公表された4月30日~5月1日開催分の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録では、かなりの委員が可能であれば利上げの再開を望んでいることが浮き彫りになったとはいえ、少なくとも連邦準備理事会(FRB)の金融政策姿勢は当時に比べるとハト派的になっている。このままリスク回避が一段と進んで昨年末までのような株安や信用不安に見舞われる状況に陥ることは、現時点では想定しにくい。足元では債券市場に資金が流入して米長期金利が10年債利回りベースで2.3%台前半に低下し、逆イールド化がより鮮明になってはいるが、じきに資金が株式市場に回帰していくとともに長期金利が上昇し、“最強の安全通貨”とされる円相場に対してドル高が進みやすくなると想定している。


 今週は、明日は前週初に発表された日本のGDP統計が、内容が非常に悪かったにもかかわらずかなりの高成長になりましたが、その背景について簡単に考えておきます。
 その後の2日間では、先週末に英国のメイ首相が辞意を表明しましたが、そうしたブレグジットを巡る動きについて、ナチズム系の権力者層の戦略シナリオの観点から考察します。
 週末には、ここにきて米中摩擦が、米国側がファーウェイその他の中国の戦略企業にも一段と圧力を強め、それに対して中国側も態度を硬化させるなど対立が激化してきましたが、その背景について考察します。
 実際には、習近平国家主席はトランプ大統領と“阿吽の呼吸”で動いていることを示すことにします。
 今週もよろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。