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先週の動き・・・・緩和期待で株高の後、週末に米雇用統計の発表でそれが後退

ポイント
・トランプ大統領がFRB理事にハト派的な人物を指名する意向を示したことや、次期ECB総裁にIMFのラガルド専務理事の就任が決まったことから世界的な緩和期待で株高になったが、週末にはタカ派的な米雇用統計の発表でそれが後退して反落した。
・外為市場では米欧での緩和観測から円安含みの展開になったが、週末にはタカ派的な米雇用統計の発表から一気にドル高に振れた。


 先週の国際金融市況は世界的な金融緩和期待からリスク選好が強まり、株価がおおむね堅調に推移した。

 米国株は週初1日には29日の日本・大阪での米中首脳会談で貿易協議の再開が決まり、米国側による追加関税の発動が見送られたことからアジア株が急伸したなか、石油輸出国機構(OPEC)総会でもこれまでの減産措置を9カ月延長することで合意したことで原油相場が上昇したことも加わって続伸した。ただ、ナスダックは前週末比84ポイント上昇して史上最高値を更新したものの、ダウは利食い売りが出たことで同117ドル高にとどまった。2日は欧州中央銀行(ECB)の次期総裁に国際通貨基金(IMF)のクリスティーヌ・ラガルド専務理事の就任が決まり、ドナルド・トランプ米大統領も空席となっている二つの米連邦準備理事会(FRB)理事にハト派とされる人たちを指名する意向を示したことで、世界的な緩和期待から続伸した。しかし、米通商代表部(USTR)が欧州連合(EU)向けに発動する予定の210億ドル分の追加関税に航空機大手エアバスの問題に絡んで40億ドル分を上積みすると発表したことで上値を抑えられ、ダウは前日比69ドル高にとどまった。
 3日には次期ECB総裁にラガルド専務理事の就任が決まったことで欧州株が全面高になったことや、オートマティック・データ・プロセッシング(ADP)雇用統計が事前予想を下回ったことでFRBの利下げ観測も高まったことから上伸し、ダウは同179ドル高になって最高値を更新した。4日の独立記念日の休場を置いて週末5日には、米雇用統計の発表で非農業部門の雇用者数(NFP)が予想を大幅に上回ったことからFRBの利下げ観測が後退してダウは一時同230ドル以上も下げたが、その後米長期金利が急上昇したことで金融株が買われたことから下げ幅を縮小して同43ドル安に、ナスダックは同8ポイント安と小幅安にとどまった。

 日本株は週初1日には米中首脳会談で追加関税の発動が見送られたことで中国株はじめアジア株が急伸したことから日経平均は前週末比454円高と大幅高になり、翌2日も前日に急伸した余波から底堅く推移して前日比24円高になった。3日はこれまでの上昇を牽引してきた米中協議の再開に関する要因が一巡したことで、円高に振れるとともに軟調な展開になり、同116円安になった。4日は金融緩和期待から世界的に株価が上伸していたことから堅調な展開になったが、それにより円高懸念がくすぶっていることが上値抑制要因になり、上昇幅は同64円高にとどまった。週末5日も底堅く推移したものの、前日の米国が休場だったことから閑散な商いとなって積極的に買われることなく、同43円高にとどまった。

 外国為替市場では米欧の中央銀行がともに金融緩和策に動くとの期待からおおむね方向感のない動きになったが、週末には米雇用統計の発表を受けてドル高に振れた。

 ドル・円相場は週初1日には米中首脳会談の結果を受けてリスク選好から円安圧力が強まり、東京市場の終盤からロンドン市場の序盤にかけて1ドル=108円50銭台にまで上昇した。しかし、2日のニューヨーク市場では世界的な景気悪化懸念が意識されて米長期金利の低下からドル安圧力が強まり、3日の東京市場では米中協議の材料出尽くしから株価が下落したことで円高圧も強まって107円50銭台に軟化した。その後、ロンドン市場ではやや戻したが、ニューヨーク市場ではADP雇用統計が弱気な内容になったことで再び下落した。4日は米国が休場だったことで閑散となったなか、107円台後半で動意薄になった。週末5日にはロンドン市場にかけて強含んで108円台に乗せた後、ニューヨーク市場に入ると米雇用統計がタカ派的なサプライズとなったことで、米長期金利が急上昇するとともにドル高圧力が一気に強まり、108円60銭台にまで上昇した。

 ユーロ・ドル相場は週初1日にはECBの追加緩和観測からロンドン市場でユーロ安圧力が強まり、1ユーロ=1.137ドル付近から下落していった。2日にはECBとFRBがともに緩和策に動くとの期待から1.13ドルを挟んで方向感なく推移した。3日には次期ECB総裁にラガルド専務理事が決まったことで追加緩和観測が一段と高まり、ロンドン市場では.1127ドル割れに軟化したが、ニューヨーク市場ではADP雇用統計の発表を受けたドル安圧力から1.131ドル台に上昇した。4日は米市場が休場だったことで1.128ドル台を中心に動意薄になった後、週末5日のニューヨーク市場では米雇用統計の発表から一気にドル高圧力が強まり、1.120ドル台に急落した。


利下げを決めても再び利下げ観測が強まる展開に

 空席となっている二つのFRB理事のポストにトランプ大統領が再びハト派的な人物を指名する意向を示したことや、ハト派的な内容になったADP雇用統計の発表を受けて、今月30~31日に開催される連邦公開市場委員会(FOMC)では完全に0.5%の利下げの決定を織り込むほどまでに債券が買い進まれた。しかし、週末に発表された雇用統計の内容がかなりタカ派的なものとなったことで、一気にそうした期待が剥落してしまい、今では0.25%の利下げにとどまるとの見方が支配的になっている。とはいえ、雇用統計の発表を受けて米長期金利が急上昇すると、すかさずトランプ大統領やピーター・ナバロ国家通商委員会(NTC)委員長が利下げを要求したあたり、FRBに対する政権の露骨な介入が続いている。おそらく、今月末のFOMCでは予想通り0.25%の利下げを決めても、さらにトランプ大統領が圧力を強めていくことで再び利下げ観測が強まっていくのだろう。


株価展望に透けて見える市場が利下げを催促する展開

 米株価は主要指数が昨年10月初旬につけた史上最高値を相次いで更新したなか、最後に残っていたダウも先週3日に更新したことで「異市場間のダイバージェンシー」が否定され、先行き一段高に向かうことを暗示する状況になった。5日には米雇用統計の発表を受けて一時突っ込んだものの、その後下げ幅をかなり縮小したあたり、地合いの強さを物語っている。こうした株価の先行きの展望をすると、トランプ大統領を中心とする政権側がFRBに圧力をかけ続け、それを市場が織り込んで長期債が買い進まれ、市場が催促する形でFRBが利下げをせざるを得なくなる展開になることがうかがわれる。


 今週は、明日はタカ派的な内容になった米雇用統計の検証をしておきます。
 明後日は米中首脳会談の開催までの流れやその結果を踏まえて、米中両国での勢力の利害関係その他から考察します。
 その翌日にはそれに絡んで、ファーウェイの問題の本質やその解決を巡る動きについて考えてみます。
 週末には、トランプ大統領がG20サミットが終わった後に韓国に向かい、板門店で米朝首脳会談を行った意義やその背景について考察します。
 今週もよろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。