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先週の動き・・・・米中間の対立激化で急落後、人民元にらみ不安定な展開

ポイント
・株価は週初には米国側による追加制裁関税に対抗して中国側が人民元相場の急落を容認し、米国側が為替操作国に指定するなど米中間の緊張の高まりから株価が急落した。その後、人民銀行が設定する基準値や人民元相場の動向をにらみながら次第に出直っていった。
・外為市場では米中間の緊張の高まりに加え、トランプ大統領がFRBに1.00%以上の利下げを要求するなど9月FOMCでの大幅な利下げ観測の高まりからドル安気味に推移したが、対ユーロではイタリアの政情不安もあってレンジ内の動きになった。

 先週の国際金融市況は週初に前週から続いたリスク回避の動きが強まって株価が急落したが、その後人民元相場が安定を取り戻したこともあって次第に出直っていった。

 米国株は週初5日には人民元相場が急落したことや、中国政府が米政府が打ち出した第4弾となる制裁関税の報復措置として国有企業に米国からの輸入停止を要請したことからアジア・欧州株が全面安になった。それだけでなく、米国側もそれに対抗してスティーブン・ムニューシン米財務長官が中国を為替操作国に指定することを発表したことで急落し、ダウは前週末比767ドル安になって2万6,000ドルを、ナスダックも同278ポイント安になって8,000ポイントを割った。しかし、6日には中国人民銀行が人民元相場の基準値を1ドル=6.9元台に設定したことから安心感が強まって反発し、ダウは前日比311ドル高になって2万6,000ドル台を回復し、ナスダックも同107ポイント高になった。7日には世界経済の減速懸念から再び地合いが悪化して下落したが、その後シカゴ連銀のチャールズ・エバンズ総裁が追加緩和を求める発言をしたことや、9月上旬に米中貿易協議の再開が報じられたことから急速に下げ幅を縮小していき、ダウは同22ドル安にとどまってナスダックは同29ポイント高とプラス圏で引けた。8日には中国の貿易統計で輸出が伸びていたことや、人民元相場の基準値も予想より高めに設定されたことが好感されて上伸し、ダウは同371ドル高に、ナスダックも同176ポイント高になった。週末9日にはドナルド・トランプ米大統領が中国との貿易協議の合意に悲観的な見通しを示して9月の首脳会談の開催の中止に言及したことや、華為技術(ファーウェイ)との取引の再開の先送りを示唆したことから軟化したが、その後米当局が再開の先送りは政府調達のみであると表明したことから下げ止まり、ナスダックは同80ポイント安になったもののダウは同90ドル安にとどまった。

 日本株は週初5日には前週末の米国株が下落したなか、人民元相場も急落したことから中国株主導で下げ圧力が強まり、日経平均は前週末比366円安になって2万1,000円を割った。6日も前日の米国株が急落したのを受けて軟弱な地合いが続いたが、その後人民銀行が高めに人民元相場の基準値を設定したことから下げ幅を縮小していき、前日比134円安の下げ幅にとどまった。7日は米追加利下げによる円高懸念から弱含み、終盤には世界経済の減速懸念から売られて同68円安になった。8日は中国の輸出が予想に反して伸びていたことや、人民元相場の基準値も予想より高めに設定されたことが好感されて中国株主導で上昇し、同76円高になった。週末9日も前日の米国株が上伸したことから堅調な流れが続き、同91円高と続伸した。

 外国為替市場では米中間の不協和音や、米連邦準備理事会(FRB)の積極的な追加利下げ観測から円高・ドル安圧力が強まる場面が見られた。

 ドル・円相場は週初5日には1ドル=106円台半ば付近で始まったが、東京市場では人民元相場の急落や、中国政府が国有企業に米国からの輸入停止を要請したことから円高圧力が強まって下落していった。さらにニューヨーク市場でも米政府が中国を為替操作国に指定しただけでなく、米供給管理協会(ISM)非製造業景況指数が低調な内容だったことも加わり、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.50%の利下げ予想が高まったことでドル安圧力も強まり、翌6日の東京市場にかけて105円50銭超まで下落した。ただその後、人民銀行が元高方向に基準値を設定したことから切り返していき、東京市場の終盤からロンドン市場にかけて107円台乗せまで急反発した。7日には世界経済の減速懸念でリスク回避が高まったことから円高圧力が強まり、ニューヨーク市場でもシカゴ連銀のエバンズ総裁のハト派的な発言によるドル安圧力から再び105円50銭付近に下落した。しかしその後、9月に米中貿易協議の再開が報じられたことから切り返していき、翌8日の東京市場では中国の貿易統計での輸出の伸びや基準値が元高気味に設定されたことで106円30銭付近まで反発した。週末9日にはトランプ大統領が貿易協議で中国との合意の締結に悲観的で首脳会談も中止の可能性に言及したこと、ファーウェイとの取引再開の見送りによる円高圧力に加え、大統領がFRBに1.00%以上の利下げを要求したことや米生産者物価指数(PPI)が予想を下回ったことによるドル安圧力も加わり、ニューヨーク市場では一時105円30銭割れまで下げた。

 ユーロ・ドル相場は週初5日には中国政府による国有企業に対する米国からの輸入停止要請からリスク回避が強まり、ISM非製造業景況指数が低調だったこともあって9月のFOMCで0.50%の利下げ観測が高まったことからドル安圧力が強まった。さらに6日もピーター・ナバロ米国家通商会議(NTC)委員長が大幅な利下げを要求したことからその流れが続き、ニューヨーク市場では1ユーロ=1.125ドル付近まで上昇した。7日にはシカゴ連銀のエバンズ総裁のハト派的な発言と9月上旬に米中貿易協議が再開されるとの報道が相殺して動きにくくなり、1.120ドルを挟んだ動きに終始した。8日のロンドン市場ではドイツ政府が財政刺激策を講じるとの報道によるユーロ高圧力から一時1.123ドル台に強含んだが、その後同国の報道官がそれを否定したことや、イタリアでマッテオ・サルビーニ副首相兼内相(「同盟」党首)が解散総選挙を要求したことから1.118ドル割れに反落した。週末9日もロンドン市場ではイタリアの財政・政情不安から弱含んだ後、トランプ大統領が中国との貿易協議の合意締結への悲観的な見方や9月の首脳会談の中止の可能性に言及し、さらにFRBに1.00%の利下げを求めたことから1.12ドル台に上昇した。


 今週は、先々週からトランプ政権が急激に中国に対して強硬な姿勢に出た背景を探ることで、中国で今、開催されている北載河会議との関連もまじえて考察します。
 さらに、習近平派と江沢民派の対立の背後には90年代以降、米欧財閥が米系大手投資銀行の仲介で提携したことがありますが、それと足元の株安も関連付けて考察します。
 とりあえず、明日はここにきて、トランプ政権が急激に中国に対して強硬な姿勢に転じた背景について見ていくことにします。
 今週もよろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。