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中国に対する敵対的な姿勢を強める米次期政権

ポイント
・トランプ次期政権の移行チームによる中国に対する強硬姿勢はバノン次期首席戦略官が中心になっており、今回の安倍首相のハワイ訪問の“仕掛け人”もこの人物であるようだ。
・移行チームはニクソン政権が中国との国交樹立に動いたのを否定し、共産党政府は本来的に非合法政権であり、台湾を正当な中国であるとする路線を志向しているフシがある。
・危機意識を強めたキッシンジャー元国務長官が訪中して習近平国家主席と協議したが、その最中にトランプ次期大統領が意図的に蔡英文総統に電話協議を申し入れた。



対中国政策でカギを握る極右扇動家

 今回は、今後の日本を取り巻く外交・安全保障問題を考察するうえでも、また最大の財政出動政策が軍需の創出であるという観点から世界経済情勢を考えるうえでも、ドナルド・トランプ米次期政権の対中国政策について検証していく。
 トランプ次期政権やその政権移行チームは、通商政策面ではもとより大統領選挙戦中から中国を為替操作国に認定し、同国の製品に45%の関税をかけることを主張していた。さらに新政権の発足を前に、貿易政策を統括する「国家通商会議」を新設して米通商代表部(USTR)や商務省の上位に置いたうえで、その議長に対中強硬派とされるピーター・ナバロ・カリフォルニア大学教授を起用することも発表された。

 外交・安全保障面でも今さら指摘するまでもなく強硬姿勢が目に付く。
 政権移行チームの中で中心になって反中国的な姿勢を強めているのが、極右扇動家として有名なスティーブン・バノン次期首席戦略官・上級顧問だという。そのバノン次期首席戦略官の意向により、同じく右翼的な性格が強い日本の安倍晋三首相に対する親近感もにじみ出ているようだ。
 安倍首相は事実上、バラク・オバマ現大統領が5月27日に広島を訪問した“返礼”として、26日から3日間の日程でハワイを訪れて真珠湾も慰霊訪問しているが、その“お膳立て”をしたのは、実はこの政権移行チームのバノン次期首席戦略官だという。オバマ大統領は毎年、年末までにその職務を終えるとクリスマス・年末休暇を地元のハワイで過ごしている。今回、安倍首相が訪問するにあたり、オバマ大統領は自身のプライベートの時間を邪魔されるとして、本音では迷惑がっているという。
 ただそれはともかく、安倍首相がハワイを訪れるのは中国に対峙するうえで日米同盟を強固なものにする意図があるのはいうまでもないことだ。それを好戦的な性格が強いトランプ政権が発足してから行うわけにいかないため、反戦平和や反核のイメージが強いオバマ大統領の任期中に済ませようというものである。


対中国政策の根本的な見直しを意図している政権移行チーム

 ただ、このバノン次期首席戦略官が中心になって中国に対する政策姿勢で特筆されるのが、中国との国交樹立に動いたリチャード・ニクソン政権の外交政策を否定する路線が密かに検討されているフシがあることだ。大陸中国の一党独裁体制を維持して人権を抑圧する共産党政府は非合法的に国民党政府から政権を奪い取った“ならず者の犯罪者”であり、民主的な政権交代を認める台湾の政府こそが正当な中国の政権であるという論理だ。
 親中国的な性格が強い外交問題評議会(CFR)系や国務省キャリア官僚群の勢力が、こうした政権移行チームの路線に水面下で反発していたようだが、どうやら、この勢力は完全に“脇役”に追いやられてしまったようだ。

 国務省キャリア官僚群を代表するヘンリー・キッシンジャー元国務長官がこうした動きに危機意識を強めて、12月2日に現・次期政権スタッフに無断で訪中し、習近平国家主席と善後策を協議した。ところがその会談の最中に、トランプ次期大統領が台湾の蔡英文総統と電話協議をしていることはよく知られている通りだ。
 トランプ次期大統領は後にフォックス・テレビでのインタビューで、蔡総統から祝意の電話があったのでそれに応じただけだと“とぼけていた”ものだ。とはいえ、本当はキッシンジャー元長官が習主席と会談をしている時に、トランプ次期大統領側から意図的に電話をかけたという。


 明日、明後日もこの続きを掲載して、本年の掲載を終わります。
 よろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。