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習近平の巻き返しがもたらす大きな影響とコスモポリタン系の抵抗

ポイント
・中国では習近平国家主席が政治的権威を復活させたなかで、国内的には強権統治体制を厳格化する一方で対外進出姿勢を強化しており、香港情勢が激化しているのも「一国二制度」の廃止を目指して四中全会を主導して弾圧の動きを強めているためだ。
・習主席が巻き返したことでナチズム系の権力者層の優位性が一段と強まっており、世界各地に駐留している米軍の撤退に取りかかり始めており、それに伴って中東やアジア極東での管理をロシアに任せていこうとしている。
・それに対してコスモポリタン系の勢力がウクライナ疑惑等で抵抗しても弾劾させることができないなかで、米中貿易協議では誰しもが反対することができない人権や民主化の問題を持ち出すことで、トランプ大統領が安易に身動きが取れない状況にしようとしている。
・香港ではコスモポリタン系につらなる工作員がデモ活動を扇動している一方で、ナチズム系がデモ隊をさらに過激化させて民心から離反ようとしている。それにより武力鎮圧すれば中国は強力な制裁を受けざるを得ないが、「新冷戦」体制に持ち込むには好都合だ。



習近平の権威復活が大きな影響をもたらしている

(前回の続き)ただし、香港問題を利用して人権・民主主義法案を成立させることでドナルド・トランプ政権を牽制しながら中国を圧迫しようとしているのは、これまで当欄で述べてきたように、習近平国家主席が今夏の北載河会議で「人民の領袖」という称号が奉られることで権威を復活させたことと密接に関係している。
 習近平主席は国内的には経済情勢が失速状態にあるなかで、共産党による一党独裁体制を維持するために強権統治体制を強めていこうとしている一方で、国外的には表向き米国と衝突する覇権国化を志向するのは否定しながらも、実際にはそうした方向に向けて積極的に対外進出姿勢を強めている。それが最も如実に表れているのが香港を巡る動きであり、江沢民派が“汚職まがい”で得た不正蓄財資金を海外に逃がす拠点を潰すため、高度な自治と資本主義制度の存続を保証した「一国二制度」を廃止して香港を大陸中国に編入させようとしている。
 香港でのデモ活動は逃亡犯条例の適用に反対したのが契機になって起こったが、10月28~31日に開催された第19期中央委員会第4回全体会議(四中全会)で習主席主導で香港に対して厳しい姿勢が打ち出されたことで、当局の鎮圧に向けた動きが急激に強まったのは決して偶然ではない。


ロシアに地域管理を任せて米軍が撤退へ

 中国で習近平主席が政治的権威を回復したことでトランプ政権の背後の親イスラエル右派的で国家主義的、民族主義的なナチズム系の権力者層の優位性が一段と強くなった影響は、他の地政学的な問題にも及んでいる。
 親イスラエル左派的で社会主義的、民族主義的なコスモポリタン系の勢力が米国の覇権の維持を目指して中国を撃滅しようとしているのに対し、ナチズム系は中国を相手に「新冷戦」体制を構築して“ヤラセ”の軍拡競争を繰り広げようとしている。そこでは、世界各地に駐留している米軍を徐々に撤退させて属国群を次々に独立させたうえで、それらの国々に軍事力を増強させることで、兵器やその装備品の輸出を伸ばして貿易赤字を縮小させながら国内で生産活動を活発化させようとしている。そうしたなかで米軍を撤退させていくにあたり、中東や朝鮮半島を中心とするアジア極東では、ナチズム系につらなるウラジーミル・プーチン政権下のロシアに影響力を強めさせて、米国の代わりに各地域の管理を任せていこうとしている。
 つい最近では、トランプ大統領はレックス・ティラーソン国務長官、ハーバート・マクマスター大統領補佐官、ジェームズ・マティス国防長官、ジョン・ケリー大統領首席補佐官、ジョン・ボルトン大統領補佐官(いずれも当時)といった一連のコスモポリタン系につらなる閣僚を相次いで更迭して周囲を“イエスマン”で固めている。それにより、ようやくクルド人を見捨ててシリアに駐留している米軍の撤退に踏み切ることができたところだ。シリアのバッシャール・アサド政権の後ろ盾になっているロシアが、トルコと提携して影響力を強めているのもシナリオ通りの動きであるのは、これまで当欄で述べてきた通りだ。


トランプ大統領を弾劾できないので身動きが取れないように画策

 いうまでもなく、こうした動きにコスモポリタン系が抵抗しており、米国でウクライナ疑惑でトランプ大統領を、またそれが飛び火して日本でも「桜を見る会」その他で安倍晋三首相やその周辺が攻撃されているのはこのためだ。中国で習近平主席が権威を巻き返した直接的な影響として香港で弾圧の動きが強まっており、それに対抗してコスモポリタン系である国務省官僚群につらなる米中央情報局(CIA)の工作員がさらに学生デモを扇動していることで情勢が激化している。そうしたなかで今回、米国では香港を巡る人権・民主主義法案を議会が圧倒的多数で成立させようとしていることを押さえる必要がある。
 ウクライナ疑惑では野党民主党が過半数を握っている下院において、ナンシー・ペロシ議長主導でトランプ大統領に対して弾劾に向けた手続きを進めているが、上院ではそれを実現するのに3分の2以上の賛成が必要とされているなかで、過半数を共和党が握っているためにそれは非現実的である。実際には、共和党の重鎮とされる保守的な議員の多くは軍需産業や石油産業の利害で動いているだけに、トランプ大統領に対して反感を抱いている向きが多いようだが、その立場上、同党から出ている大統領の弾劾に回ることはよほどのことがない限りできない。
 そこで名分上、誰しもが反対することができない人権や民主化の問題を持ち出して、全会一致のような圧倒的多数で可決させることで、トランプ大統領に容易に身動きが取れないようにしている。またそれとともに、米中貿易協議でもトランプ大統領や習近平主席を牽制し、中国に致命的な打撃を与えようとしているなかで、大統領が安易に合意に動かないようにしようとしているわけだ。


トランプ大統領が署名しても水面下で交渉は続いていく

 トランプ大統領は難しい立場に立っているが、署名せずに拒否権を行使しても上下両院がそれぞれ3分の2以上の賛成票を集めて再可決すれば成立することもあり、署名せざるを得ないだろう。問題はそれが米中貿易協議にどのような影響を及ぼすかだが、中国政府としては当然のことながら表向き反発する姿勢を見せるものの、習近平主席が権威を回復させているなかで、実際には水面下では両国間で協議を進めていくのが最もあり得るシナリオだろう。
 香港ではコスモポリタン系につらなる米CIA工作員が学生を中心とするデモ活動を扇動しているが、その一方でCIAに潜り込んでいるイスラエル工作員はナチズム系の意向を受けて、デモ活動に過激分子を送り込んで扇動工作を行い、分裂の動きに拍車をかけようとしている。それによりデモ隊が分裂して過激分子が暴走することで民心が離反していけば、習近平主席やその背後のナチズム系の権力者層としては好都合である。それが奏功せず、いずれ武力警察や人民解放軍を投入して暴力的に鎮圧せざるを得なくなると世界的に批判が高まって厳しい制裁を受けざるを得ないが、それでも収拾がつかなくなるほどに混乱させれば鎮圧する名分ができることになる。
 またナチズム系の権力者層としては中国を相手に「新冷戦」体制に持ち込もうとしているなかで、中国が世界的に批判を浴びて制裁の対象になるのは好都合である。


 明日、明後日は韓国政府がGSOMIAの破棄を停止したことについて取り上げます。
 初日の明日は延長を決定した背景や真因について考えることにします。
 よろしくお願いします。
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コメント

質問です。

永山様 いつもこのブログを拝見しております。

「ブルームバーグ出馬によりトランプ退陣決定」というような内容の噂が突然飛び交っているようです。ブルームバーグの出馬の影響について教えて頂ければ幸いです。

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プロフィール

17894176

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。