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米国は身動きが取れずロシア支援で北が南を呑み込んで朝鮮半島統一へ

ポイント
・米国側がGSOMIAの更新に動いたのは、在韓米軍が駐留し続けることが前提になっているので直接的にはコスモポリタン系の利害に沿ったものだが、ナチズム系としても韓国政府が性急に南北統一に動くことを嫌っており、コスモポリタン系に同調している。
・当面は日米韓の枠組みで北朝鮮への制裁を維持する姿勢を続ける必要があるのは、一つには依然としてコスモポリタン系が根強い勢力を抱えており、強引に在韓米軍の撤退に動くと大きな混乱を引き起こさずにおかないからだ。
・もう一つは、北が南を呑み込む形で朝鮮半島を統一させる必要があるからだ。韓国と北朝鮮の経済力を考えると南主導での統一は不可能であり、極貧の北が豊かな南を呑み込めば北朝鮮の経済力を引き上げる必要がなく、資源開発に向けて南の富を収奪できるからだ。
・諸般の事情で米国が動けない代わりにロシアが中東だけでなくアジア極東でも主導権を握りつつある。その背景には、16年中に米国の軍事攻撃の可能性が高まった際にロシア軍が北朝鮮国内に進駐し、短距離ミサイル発射はじめ同国を操っていることがある。



ナチズム系も性急な南北統一に反対しGSOMIAの更新に賛成

(前回の続き)ただここで考えなければならないのは、今回、米国側で日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の更新に向けて動いたのは国務省や国防総省、上院外交委員会であり、直接的には軍産複合体を中核とする親イスラエル左派的で社会主義的なコスモポリタン系の勢力の利害に沿った動きであることだ。在韓米軍が北朝鮮の核ミサイルの危機に晒されていることで更新させたというのは、あくまでも米軍が駐留し続けることがその前提になっており、軍需産業を中核とする軍産複合体や軍上層部の利害に直接的に関わるものだ。
 これに対し、ドナルド・トランプ政権の背後の親イスラエル右派的で国家主義的、民族主義的なナチズム系の権力者層は今回は約5倍に引き上げることを要求したように、駐留経費の韓国側の負担分を数倍から10倍程度に増額させたうえで、近い将来に在韓米軍を撤退させようとしている。そうした意味では、トランプ政権としては文在寅(ムン・ジェイン)政権を後押ししてGSOMIAの破棄に動いた方が得策のような気がしないでもないが、実際には韓国側が性急に南北統一に向けて動くことを嫌っている。そのため、今回のGSOMIAの更新を巡りトランプ大統領の“イエスマン”であるマーク・エスパー国防長官も直々に訪韓して文大統領の説得に当たったように、しばらくは中国に対して「オール・アメリカン体制」で臨んでいるのと同じように、コスモポリタン系と同様の姿勢を見せていくことになる。
 このGSOMIAの問題を巡ってはトランプ大統領がほとんど言及していないが、本人に関心がないことによるものと思われるとはいえ、それ自体が自身の微妙な立場を物語っているといえるだろう。


いまだに根強い勢力を誇るコスモポリタン系

 どうして当面は性急な朝鮮半島の統一の動きを封じて日米韓の枠組みを維持して北朝鮮に対する制裁を続けなければならないかというと、一つは米国では依然としてコスモポリタン系の勢力が根強い状態にあるからだ。シリアからの米軍の撤退についても周到に準備を重ねてそれに踏み切ったように、今すぐ在韓米軍の撤退に動けば大きな混乱を引き起こさずにおかない。
 その意味では、中国では中央政界では習近平国家主席が強権統治体制をほぼ確立しているものの、国有企業の利権の多くはいまだに江沢民派が握っており、しかもその国有企業は簿外で天文学的な不良債務を抱えているなかで、強引に構造改革を推進できないのと同じようなものといえるだろう。


北主導で南を呑み込むことで朝鮮半島を統一させるのが現実的

 もう一つ重要なことはこれまで当欄で述べてきたことだが、ナチズム系の権力者層は朝鮮半島を南からではなく北主導で統一させようとしていることだ。
 多くの人たちは韓国が北朝鮮を呑み込むことで統一が達成されると考えているようだが、現実問題としてはそれは不可能である。なにしろ、東西ドイツが統一した後に困難な状態が長期にわたり続いたが、現在の韓国の経済規模は当時の国民総生産(GNP)で世界第3位の旧西ドイツよりかなり劣る一方で、かつての旧東ドイツは旧共産圏諸国の中では“優等生”といわれていたのに対し、現在の北朝鮮は世界でも最貧国とされている。こうした状況では統一コストが天文学的な規模に上ってしまうが、周辺国で資金を拠出できるのは日本以外にあり得ないので、韓国主導での統一はまず不可能である。そうではなく、貧しい北主導で南を呑み込む形で統一すれば北側の経済水準を引き上げる必要がなく、むしろ南側の経済力を収奪して北側のウラン鉱石をはじめとする地下資源開発に振り向けることができることになる。
 既にトランプ大統領一族はじめナチズム系の権力者層は資源開発を目当てに密かに北朝鮮国内に進出して利権の獲得に動いている。安倍晋三首相の背後の右翼的な宗教勢力も資源開発の恩恵に与るだけでなく、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と「大東亜共栄圏」の構築を目指すにあたり朝鮮半島の北部に拠点を置こうとしている。安倍首相が意図的に韓国との関係を険悪化させている背景にはそうした思惑があることも、これまで当欄で述べてきたことだ。
 そうした権力者層の思惑からは、韓国で文在寅政権が外交面で孤立していき、内政面でも経済情勢の悪化に歯止めがかからず、金融危機や債務不履行(デフォルト)に向けて突き進んでいるのは誠に好都合なのである。


ロシアが朝鮮半島を巡る外交でも主導権の掌握に動く

 朝鮮半島の非核化問題を巡り米国側がトランプ大統領の意向とは裏腹に諸般の事情でなかなか影響力を行使できないなかで、ロシアが代わりに主導権を握ろうとしている。
 先週21日にセルゲイ・ラブロフ外相がこの問題の解決に向けて、中国と作成した新たな行動計画を北朝鮮側に提示したとされている。その内容は北朝鮮側が核・ミサイル開発に向けた動きを止めるのと引き換えに制裁を徐々に緩和していくというものであり、17年9月にロシア・ウラジオストクで開催された東方経済フォーラムで同国が提唱したものと大差はない。
 ただここで重要なことは、その作成に中国もかかわったとされるが、実際には表向きそうした体裁を整えているだけで、ロシアがほとんど主導権を握っていることだ。


ロシアは北朝鮮を操りアジア極東でも影響力を強めていく

 これは、米国でトランプ政権が発足して1年目の16年中に北朝鮮が盛んにミサイルの発射や核実験を行ったことで米軍による軍事攻撃の可能性が高まった際に、実際にそれが実施されると難民が自国内に流入する恐れがあったことからロシア軍や中国の人民解放軍が北朝鮮との国境に向かったが、その際に北朝鮮側はロシア軍だけを自国内に引き入れて以来、ロシアが同国で大きな影響力を行使していることによるものだ。
 ロシア軍は北朝鮮国内に入ると中国との国境に向けて進み、人民解放軍が侵攻してくるのを防ぐ役割を果たした。その一方で、ロシア軍はナチズム系の権力者層の意向に従って北朝鮮による核開発に向けた動きを支援している。最近、北朝鮮が日本海に向けて発射している「飛翔体」と称される短距離弾道ミサイルは、ほとんどロシア製イスカンデル型で占められているのはこのためだ。
 ナチズム系の権力者層は意図的に米国の世界覇権を後退させていく代わりに、経済面では習近平主席による中国の「一帯一路」構想を支援していこうとしているが、安全保障面での管理体制ではロシアに積極的な役割を担わせようとしている。それは中東だけでなく、アジア極東でも例外ではないということだ。


 今週はこれで終わりです。今回も御拝読いただきありがとうございました。
 来週もこれまで通り、週明け2日の月曜日から掲載していくのでよろしくお願いします。
 米国では感謝祭を過ぎて年末のクリスマスモードに突入しましたが、香港を巡る人権・民主化法案にトランプ大統領が署名した(正確には署名せざるを得なかった)ことで中国が反発しており、米中貿易協議が予断を許さなくなってきました。
 コスモポリタン系の勢力による抵抗が強まっており、来年の米大統領選挙でもトランプ大統領の優位性に陰りが見られるとの指摘も出ているようなので気になるところです。
 次回以降もよろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。