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治外法権まで持ち出して中国を攻めるトランプ政権

ポイント
・コスモポリタン系とナチズム系は中国への攻撃で一致していたが、その目的意識は異なる。コスモポリタン系は中国を撃滅するために知的財産権や技術移転強要、補助金支給問題を持ち出しているが、ナチズム系は構造改革を推進させる外圧を提供しようとしている。
・交渉で合意に漕ぎつけても、知財問題や技術強要問題で中国側がしっかり遵守しないとの懸念から、米国側は米司法機関が紛争案件を扱えるように要求したが、国家主権にかかわるので拒絶されると順守状況を検証したうえでさらに強力な関税発動の枠組みを主張した。



中国を巡り同床異夢の関係にあるコスモポリタン系とナチズム系

 次に述べることは、これもこれまで、当欄で述べてきたことだが、大事なことなのでもう一度指摘することにする。
 米国における二大勢力の間ではこれまで、当面は中国を攻撃する姿勢で一致していたものの、同国に対する最終的な目的意識が異なる“同床異夢”の関係にある。ドナルド・トランプ政権が成立する以前まで主導権を握っていた親イスラエル左派的で社会主義的、リベラル的なコスモポリタン系の勢力は軍産複合体を中核としており、米国の世界覇権を維持するために中国を撃滅しようとしている。これに対し、トランプ政権の背後で主導権を握っている親イスラエル右派的で国家主義的、民族主義的なナチズム系の勢力は、将来的に中国に覇権を明け渡すことを前提に、同国に市場経済化を浸透させて対外資本取引も自由化させたうえで国有企業改革を推進させようとしている。そうすることで、国有銀行や代表的な国有企業を買収その他でユダヤ系米資本が支配下に収め、中国そのものを“寄生虫”のごとく“蚕食”したうえで、習近平国家主席が提唱している「一帯一路」構想に乗ってグローバル規模で利権を獲得していこうとしている。
 そうしたなかで、貿易交渉で米国側が中国側に知的財産権や外資に対する技術移転強要、国有企業への補助金支給等の改善を要求して構造改革を推進させようとしているのも、コスモポリタン系はそれにより中国が経済発展できない状態にさせようとしている。それに対し、ナチズム系は江沢民派を中心に既得権益層の抵抗を受けているなかで、習近平主席に改革を推進させるための“外圧”を提供することにあることを認識する必要がある。


中国側に合意事項を遵守させる安全弁の創設を強力に求める

 今回、貿易交渉で合意に漕ぎつけても、知的財産権問題にしても技術移転強要の問題にしても、結局は中国側がしっかりそれを遵守しないで“うやむや”になると見る向きはかなり多いだろう。実際、それはトランプ政権内部でもしっかり認識されており、対中強硬派のピーター・ナバロ国家通商会議(NTC)委員長はそれを防ぐために、中国国内で米国の企業を当事者とするそうしたことに関する訴訟問題が起こっても、それを同国ではなく米国の司法機関が扱えるように要求するように交渉担当者に指示していたものだ。
 これは明らかな治外法権であり、国家主権にかかわる問題なので当然のことながら中国側が強硬に反対すると、交渉団を率いていたロバート・ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表がそうした要求を取り下げる代わりに、合意の進捗状況を四半期ごとに米国側が厳正に検証したうえで、中国側に違反行為や遅延行為があればさらにこれまで以上に強力な制裁関税措置を打ち出す枠組みの創設を求めていたものだ。


 明日もこの続きを掲載します。
 明日は、今回の交渉で中国側は大規模な対米輸入に動く代わりに構造改革については拒絶しましたが、実は大規模輸入に米国側によって仕組まれた罠があることについて考察します。
 なお、今週は1日多く21日の土曜日まで掲載します。
 よろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。