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経営危機に陥ったボーイングを巡る動きがカギを握る

ポイント
・米系財閥本流系と傍流系は“同床異夢”の関係から中国を攻撃したが、それにより中国経済が失速すると、傍流系は欧州系財閥と“手打ち”をしたのに対し、トランプ大統領はキリスト教福音派の支持をつなぎ止めるために本流系に接近してイランに強硬姿勢を示した。
・米系財閥傍流系が欧州系財閥と手打ちをするにあたり、中核企業シェブロンの系列のボーイングが経営不安に陥っている中で、航空機部門で競合している仏蘭エアバスの利害と衝突せざるを得ないため、どうしても良好な関係を築くのが難しくなる事情がある。
・かつて、子ブッシュ政権でB英系財閥本流系と傍流系が対立した際に、ボーイングの旧首脳が仲介した経緯がある。今回もトランプ大統領が傍流系との関係を維持したまま本流系に接近していくにあたり、この系列の人脈が水面下で仲介に動いていたようだ。



合従連衡を繰り広げる米系財閥本流系、傍流系、欧州財閥系

(前回の続き) 話を戻すと、ドナルド・トランプ政権の成立により24年ぶりにホワイトハウスの主導権を奪い返した米ロックフェラー財閥傍流系を中核とする親イスラエル右派的で国家主義的、民族主義的なナチズム系の勢力は、“同床異夢”の関係からロックフェラー財閥本流系の親イスラエル左派的で社会主義的、リベラル的なコスモポリタン系の勢力とともに中国を攻撃した。コスモポリタン系が米国の覇権の維持を目指すうえで中国を撃滅しようとしているのに対し、ナチズム系は「外圧」を提供することで、習近平国家主席に市場経済システムの導入や金融資本取引の対外開放、国有企業改革を中核とする構造改革を推進させることがその目的である。
 ところがそれにより中国経済が失速状態に陥ってしまい、一時期には習近平主席の政治的権威もかえって動揺したことで、ヘンリー・キッシンジャー元国務長官を中心にナチズム系の勢力は江沢民派につらなる欧州ロスチャイルド財閥と“手打ちをし、それにより大統領選挙に民主党からマイケル・ブルームバーグ前ニューヨーク市長が出馬表明した。それに対し、トランプ大統領は事実上、イスラエルと同盟関係にあったクルド人を見捨ててシリアから米軍を撤退させたことで、重要な支持基盤であるキリスト教福音派の勢力が離反しつつあったなかで、年明け2日にイラン革命防衛隊のカセム・ソレイマニ司令官を空爆で殺害するなど、イランに対して強硬な姿勢を見せた。
 それによりトランプ大統領はそれまで敵対していたにもかかわらず、米製薬企業ギリアド・サイエンシズの親会社でありつい最近、独バイエルに吸収合併された米大手化学企業モンサントを主力軍需産業に抱える米系財閥本流系とつながることになった。昨年12月13日に米中貿易協議の第一段階が暫定的に合意された直前に、中国・武漢で新型肺炎の最初の感染者が発見されたのは決して偶然ではない。
 以上はこれまで、当欄で述べてきたことだが、話の都合上、大事なことでもあるのでもう一度述べておく。


注目される米系財閥傍流系のボーイングの経営不安

 ところで、キッシンジャー元国務長官を中心に米系財閥傍流系を中核とするナチズム系の勢力は、コスモポリタン系の勢力の一角を形成している米ゴールドマン・サックスの背後の欧州系財閥の勢力となかなか一枚岩になれない事情がある。
 今、米国では世界最大の軍需企業にして最大の航空機メーカーであるボーイングが経営破綻の危機に追い込まれているのは周知のことだ。小型機「737MAX」が2回にわたり墜落事故を起こして運航停止を余儀なくされたところに、新型肺炎の世界的な感染拡大から航空機需要が著しく落ち込んだためだ。まさにリーマン・ショックの際に実質的に破綻した最大の自動車メーカーのゼネラル・モーターズ(GM)が公的資金で救済されたのと同じような状況になりかねないわけだ。
 このボーイングは設立の経緯こそ独立系であるとはいえ、その後の発展の過程で実質的には米石油メジャーのシェブロンの航空機部門の子会社(といっても、世界で最大規模を誇るが)のような性格が強いといえる。さらにジョン・ロックフェラー2世の三男のローレンス・ロックフェラーがオーナーだったマクドネル・ダグラスを吸収合併したことで、今では全米最大の軍需企業でもある。まさに米系財閥本流系の中核企業であるエクソンモービルの実質的な軍需関連の子会社がロッキード・マーティンであるように、シェブロンのそれに該当するのがこのボーイングなのである。
 米系財閥傍流系を中核とするナチズム系の支援で擁立されたトランプ大統領が就任早々、ボーイング本社を訪れたのも、最近では破綻の危機を迎えて再三にわたり支援を表明しているのもそのためだ。


米系財閥傍流系やトランプ大統領と本流系との間で仲介する人脈

 ここで問題なのは、ボーイングとしては軍需産業部門で競合するのはロッキード・マーティンやノースロップ・グラマン、英BAEシステムズといったところがあるが、航空機部門のライバルが仏蘭エアバスであることだ。トランプ大統領が欧州を相手とする貿易不均衡問題を取り上げる際に、盛んに欧州連合(EU)の対外関税が不当にエアバスを保護しているとして批判しているのはそのためだ。ナチズム系は中国経済が失速状態に陥ったなかで、ゴールドマンの背後の欧州系財閥の親米派勢力と手打ちをしたが、この問題が出てくるとどうしてもそれ以上、欧州側と良好な関係を築くのが難しくなるのである。
 そこでトランプ大統領が米系財閥傍流系と完全に離反することなくある程度の関係を維持したまま、本流系とも関係を構築するにあたり大きな役割を担ったのが、ボーイングのフランク・シュロンツ元会長兼最高経営責任者(CEO)の人脈である。シュロンツ元会長はそれ以前にはジェラルド・フォード政権下でドナルド・ラムズフェルド元国防長官の補佐官であり、その後90年代半ば過ぎにボーイングの会長兼CEOになってマクドネル・ダグラスの吸収合併を実現し、さらにその後、米系財閥傍流系の中核企業であるシェブロンの重役に迎えられた人物だ。01年1月に子ジョージ・W・ブッシュ政権が発足し、ラムズフェルド元長官がその閣僚に復帰すると、元長官やディック・チェイニー元副大統領といった米系財閥本流系にしてエクソン系に近い閣僚と、キッシンジャー元国務長官やシェブロンの系列であるコンドリーザ・ライス元大統領補佐官との関係が悪化しないように水面下で調整していたものだ。
 当然のことながらトランプ大統領が米系財閥本流系と結びつくにあたり、仲介を担ったのもこうした人脈である。大統領選挙の民主党予備選挙で、米系財閥傍流系と欧州系財閥が和解したことで再出馬を表明したブルームバーグ前ニューヨーク市長がそれほど伸びず、本流系を率いていたデイヴィッド・ロックフェラーの諮問機関とでもいうべき外交問題評議会(CFR)系の重鎮であるジョー・バイデン前副大統領が一気に勢いを強めたのもこのためだ。
 さらにいえば、トランプ大統領の背後の勢力が今回、中国や欧州を中心に世界的に生物兵器を投入するにあたり米系財閥本流系と提携したことが大きな意味を成したが、その窓口であるラムズフェルド元国防長官がギリアド・サイエンシズの会長だったことも大きく関係していることは想像に難くない。


 今回はこれで終わりです。今回も御拝読いただきありがとうございます。
 来週もこれまでと同様に週明け30日の月曜日から掲載していくのでよろしくお願いします。
 どうしても新型肺炎の感染拡大に関することがテーマになると思いますが、そのあたりは御容赦ください。
 何かありましたら書き込んでいただければ幸いです。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。