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コスモポリタン的な米系財閥本流系が再び影響力を強める

ポイント
・ここにきて再び米中関係が悪化しているが、それは新型コロナの問題の責任がすべて中国側にあることにされているためだ。米国のメディア機関が世界中のその機関の中枢を握っているので、中国が世界中で“悪者扱い”されて当然である。・
・これまで主導権を握ってきたコスモポリタン系の中核である米系財閥本流系は中国を撃滅しようとしているのに対し、トランプ政権で主導権を握ってきたナチズム系は中国に「外圧」を提供して構造改革を推進させようとしており、両者は“同床異夢”の関係にある。
・新型コロナが投入された目的で最も重要なのは中国とのデカップリング化を推進することであり、そこにはサプライチェーンを瓦解させてグローバル生産体制を崩壊させることと、中国を「悪の帝国」に仕立てて「新冷戦」体制に持ち込む二つの意味がある。
・ただコスモポリタン系は米国の覇権の維持を目指して中国を撃滅しようとしていたが、現在ではナチズム系に同調する勢力が主導権を握っている可能性がある。それは大統領選挙戦で親中国的だったバイデン前副大統領が極めて反中国的になっていることに見て取れる。
・ナチズム系は中国経済が失速状態に陥って危機感を強めて欧州系財閥の親米的な勢力と手打ちをしたことで、トランプ大統領が軍産複合体を中核とする米系財閥本流系に接近したことでこの勢力が影響力を強めており、新型コロナが投入されたのもこのためだ。



中国は世界中から悪者扱いされている

 次に新型コロナウイルスの感染拡大を受けて米国と中国との関係が悪化していることについて見ていくことにする。
 この問題を考えるうえでまず指摘すべきことは、世界的な視野において感染拡大の問題はすべて中国の責任にされてしまっているが、それは米国が世界覇権国であるだけに自国のメディア機関が世界中の報道機関の中枢を握っているのだから当然の帰結である。かつて、セルビアのスロボダン・ミロシェビッチ元大統領もイラクのサダム・フセイン元大統領もリビアのムアマル・カダフィ大佐も世界中から“悪者扱い”されたように、今では中国がそうした立場を強いられているわけだ。
 それはこれまで当欄で述べてきたように、ドナルド・トランプ政権の背後で主導権を握ってきた親イスラエル右派的で国家主義的、民族主義的であり、主に米ロックフェラー財閥傍流系で構成されているナチズム系の勢力が描いていた、“ヤラセ”の軍拡競争による「新冷戦」体制の構築に向けた動きであると考えれば理解しやすい。


当面は中国への攻撃で一致していても同床異夢の関係にある両勢力

 ただし、最近ではその対抗勢力としてバラク・オバマ前政権まで主導権を握り続け、親イスラエル左派的で社会主義的、リベラル的であり、軍産複合体を中核としていて主に米ロックフェラー財閥本流系で構成されているコスモポリタン系の勢力が影響力を強めている。昨年末以降、トランプ政権がイランに対して強硬な姿勢に転じるようになったのも、中国・武漢に生物兵器である新型コロナウイルスが投下されたのもそのためであり、ナチズム系にはそうした兵器を造り出せないはずだ。
 この本流系の勢力は本来的に米国の覇権を維持するために中国を撃滅しようとしている。この勢力と将来的に中国に覇権を明け渡すことを前提に動いているナチズム系とは、18年7月6日に第一弾となる中国に対する制裁関税が発動されて以来、貿易戦争が激化したのに見られるように、当面は中国に対して強硬に敵対的な姿勢を見せている点では共通しているが、最終的な目的意識が異なる“同床異夢”の関係にある。それだけに、この問題を見ていくうえでも複雑なところがあるので、その点に留意する必要がある。
 ただここで間違いなくいえることは今回、トランプ政権が中国に対して強硬な姿勢に出たのは、大統領が新型コロナの問題について2月中まで「4月になれば終息する」と楽観的な姿勢を示して有効な対策を打ち出してこなかったことに対し、米国民の不満の矛先を対外的な“敵”にそらすためといった指摘が多いが、大統領自身の事情はどうであれ、こうした動き自体はあらかじめ想定済みのものであることだ。


新型コロナ投入の最も重要な目的は中国とのデカップリング化

 以前から当欄では、米権力者層はこの新型コロナウイルスを武漢に投下した目的はいくつかあるが、最も重要なのが世界的に中国との関係を分断させる「デカップリング化」にあることを指摘してきた。さらに、そこには日本やドイツでの構造改革の推進や中国での習近平国家主席が権力基盤を強化する目的があることも付け加えてきた。
 そうしたなかで最も重要なデカップリングについても二つの意味がある。一つは中国沿海部を生産工場の中核とするサプライチェーンを瓦解させ、多国籍企業主導によるグローバル生産体制を崩壊させることだ。今回、安倍晋三政権が成立させた史上最大規模の経済救済策についても、全国民に一律で10万円を支給することばかりが注目されているが、対策の大部分は中国に進出して生産活動を行っている日本企業に、その拠点を国内に戻すことを促進させることで占められていることはあまり知られていない。
 そしてもう一つが、世界中から米軍を徐々に撤退させていきながらそれら属国群に軍事力を強化させ、それらの国々に兵器や装備品等の輸出を伸ばしながら連携し、「悪の帝国」に仕立てていく中国と軍事的に対峙していく「新冷戦」体制を構築することだ。


コスモポリタン系でもナチズム系との協調路線が主導権を握っている可能性も

 ただし、こうしたシナリオはナチズム系の勢力が描いていたものであり、米国の覇権の維持を目指しているコスモポリタン系の勢力が望んでいるのは必ずしもそうしたものではない。あるいは、コスモポリタン系の勢力の間でもナチズム系の路線に同調する勢力が主導権を握るようになっており、そうした勢力が世界最大の軍事力を握っているだけに、トランプ政権の中国に対する姿勢がより“手荒”で強硬な姿勢であるかのように見えるだけなのかもしれない。
 実際、米系財閥本流系を率いてつい最近まで「世界皇帝」として君臨していたデイヴィッド・ロックフェラーの外交・安全保障問題の諮問機関とでもいうべき外交問題評議会(CFR)の民主党側の代表だったジョー・バイデン前副大統領が、オバマ前政権で主導権を握っていた際には親中国的な路線を推進していたのが、現在の大統領選挙戦では同盟国との軍事的な関係の重視を掲げて中国に厳しく対処していくことを主張しているなど、極めて反中国的な姿勢を示しているのにそれが見て取れる。


コスモポリタン系の影響力復活で厳しい環境になるナチズム系首脳

 ただ米国で従来、主導権を握っていたコスモポリタン系が再びそれなりに影響力を強めると、例えば安倍首相はナチズム系だけでなく民主、共和両党を問わず新保守主義(ネオコン)派の勢力とも良好な関係にあったが、中国の習近平国家主席やロシアのウラジーミル・プーチン大統領には思わしくない環境になってしまう。
 実際、ロシアではプーチン大統領がドミトリー・メドベージェフ前首相を更迭させるために登用したミハイル・ミシュスチン首相はじめ複数の閣僚が新型コロナに感染しているのは、米中央情報局(CIA)による工作活動によりウイルスを散布された可能性を考えるべきだろう。プーチン大統領は憲法を改正して終身権力化を志向しているものの、それによりその目標が足元でやや難しくなりつつあるのを見ればわかることだ。
 また英国のボリス・ジョンソン首相ですら例外ではない。ジョンソン首相は新型コロナに感染して一時、重体とされて集中治療室で治療を受けていたものだ――ただし、本当は多少、症状が重くなったとはいえ肺炎まで併発していなかったのが後になって判明している。もしかしたら、「MI6」の総称で知られている秘密情報部の工作員から狙われるのを防ぐために隠れていた可能性が水面下で指摘されているようだ。


トランプ大統領が接近した米系財閥本流系が影響力を強める

 そこで今回の命題を考察するにあたり、ナチズム系の権力者層につらなる主要国の首脳の中でも、特に習近平主席と最近、米国で影響力を強めているコスモポリタン系との関係を考えることが重要になる。
 こうしたコスモポリタン系の勢力が中国を撃滅しようとしていた一方で、ナチズム系の勢力も習近平主席に国有企業改革や市場経済システムの導入、金融資本市場の対外開放等の構造改革を推進させるにあたり、「外圧」を提供するために当面は中国に圧力を強める路線を推進していた。それにより、両者の同床異夢の関係により推進されてきたのが米中貿易戦争だった。
 ところが、それにより中国経済が失速状態に陥ってしまったため、危機感を抱いたナチズム系の最大級の大物であるヘンリー・キッシンジャー元国務長官はコスモポリタン系の一角を占めており、中国では習近平主席と敵対関係にある江沢民元国家主席を中心とする勢力とつながっている米大手投資銀行ゴールドマン・サックスの背後の欧州ロスチャイルド財閥の親米的な勢力と“手打ち”をした。それにより大統領選挙の民主党予備選挙で、マイケル・ブルームバーグ前ニューヨーク市長に再出馬をさせて擁立することで、ホワイトハウスの体制を一新しようとした。
 それに対し、トランプ政権は必然的に軍産複合体を中核とするコスモポリタン系の米系財閥本流系の勢力にそれなりに接近していった。その中でも、特にトランプ大統領の最大の支持基盤であり、イスラエル防衛を求めているキリスト教福音派の勢力を再結集するにあたり、イランに対して軍事的に強硬路線で臨む必要が出てきたことが、そうした動きに拍車をかけることになった。
 その結果、大統領選挙戦ではブルームバーグ前ニューヨーク市長が、トランプ大統領の背後の勢力から密かに支援されていた“自称社会主義者”である左派系のバーニー・サンダース、エリザベス・ウォーレン両上院議員に攻撃されて痛手を負ってしまい、呆気なく敗れたことで米系財閥本流系が影響力を強めるようになった。こうしたことは、これまで述べてきた通りである。


 明日以降もこの続きを掲載します。
 今回は米中間の対立を描くうえで、おおむねこれまで述べてきたことを要約したものを掲載しましたが、非常に重要なことなのでよく押さえておいていただければと思います。
 明日は米中間の対立や、それに絡んで北朝鮮の金正恩労働党委員長が“雲隠れ”したこともまじえて、裏側の事情に迫ってみたいと思います。
 よろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。